Last Epoch(S2) vs PoE2(0.2.0) – 2025年4月 リリース日の争いと大炎上

LastEpoch-vs-PoE2 雑学

Last EpochPath of Exile2(PoE2)という2つのゲームの大型アップデートが、2025年の4月に行われることになり、世界中の多くのARPG(Action Roll Playing Game)ファンが楽しみにしていました。しかし、このアップデートはリリースされる前の段階からユーザーをざわつかせ、PoE2のリリース後には大炎上するといった事件に発展することになりました。

今回は、Last EpochのSeason2とPath of Exile2の0.2.0について、2025年4月のリリース日程に関する一連の騒動と、PoE2(0.2.0)の大炎上をまとめています。合わせて、双方のアップデートに見られる方針の違いについても比較しながら、ソフトウェアの品質や制作体制についても触れています。

関連URL : Last Epoch Official
関連URL : Path of Exile Official

2025年4月に発生したリリース日の争い

Last EpochとPath of Exile2という2つのARPGは、元々どちらもSteamで配信されていて、同ジャンルのゲームを好むプレイヤーには、両方のゲームを所持している人も多くいるようです。

そんなよく似たゲームの大型アップデートが2025年の4月に行われることになりましたが、その日程においてユーザーを戸惑わせる騒動がありました。全体の流れを以下の表にまとめてありますが、一度発表されたLast Epoch側の日程が、後日変更されることになりました。

日付タイトルリリース日程
2025年 2月1日Last Epoch4月2日
2025年 3月12日Path of Exile24月4日
2025年 3月19日Last Epoch4月17日に変更

以下それぞれ順を追って確認してみましょう。

Last Epoch Season 2 – 4月2日(当初)

Eleventh Hour Gamesは2025年2月1日に、Last Epochの大型アップデート「Season 2: Tombs of the Erased」のリリース(Launch)を、2025年4月2日に行うと発表しました。

Last Epoch Season 2 - Tomb of the Erased

Last Epochは、2025年2月に正式リリースした後、大型アップデートは同年の7月24日の「Harbingers of Ruin」一回だけで、久々の大型アップデートとなるため、ファンは期待に胸を躍らせました。

Path of Exile2 0.2.0 – 4月4日

Grinding Gear Games(GGG)は2025年3月12日に、アーリーアクセス中のPath of Exile2(PoE2)の大型アップデート「Dawn of the Hunt」のリリース(Launch)を2025年の4月4日と発表しました。

Path of Eixle2 - Dawn of the Hunt

同アップデートは、2024年11月にPoE2のアーリーアクセスが始まってから、初めての経済リセットが行われ、PoE1と同様の「リーグ」という形での大型アップデートとなりました。未実装だった新クラス「Huntress」の実装が含まれていたこともあって、ユーザーの期待は最高潮に達していました。

前作であるPath of Exileから10年近い実績を持ったゲーム会社であるGGGが、同ジャンルの別ゲームのリリース日を意識していたかどうかは分かりませんが、結果だけ見るとLast Epochのアップデート日である2025年4月2日を狙い撃ちする形となりました。

Last Epoch Season 2 – 4月17日に変更

Path of Exile2のアップデート日のアナウンスを受けて、Eleventh Hour Gamesは2025年3月19日に、「Season 2: Tombs of the Erased」のリリース日を4月17日に変更することを通知しました。

Last Epoch - Season 2日程の延期告知

Last Epoch側としては、このPoE2のリリース日設定は自分たちへの妨害行為と捉えながらも、弱小開発会社としては譲るしかないという、延期の経緯が綴られています。

Last Epoch延期通知にみられる「苦渋の選択」

上記延期通知の画像内にある冒頭の2文について、原文とGoogle翻訳の日本語訳を載せておきます。

We’ve recently learned that our friends in the ARPG space have chosen a release date just a couple days after ours divide the player base and hinder the success of our Season 2 launch.

最近、ARPG 業界の友人たちが、私たちのリリース日を数日後に選んだことでプレイヤーベースが分裂し、シーズン 2 のローンチの成功が妨げられていることを知りました。

Last Epoch is still a smaller studio in this space that looks towards each of its launches as a way to continue to sustain the studio financially and work on the things we are most passionate about.

Last Epoch は、こ​​の分野ではまだ小規模なスタジオですが、それぞれのローンチを、スタジオを財政的に維持し、最も情熱を注げるものに取り組むための方法として捉えています。

つまり、大手の開発会社であるGGG(業界の友人という皮肉)からの挑戦を受ける事が、自分たちにとっては致命的になりかねず、将来を見据えて延期を決定することにしたということのようです。

PoE2 Dawn of the Huntが大炎上した理由

同業他社を追い込む形でリリースされたPoE2のアップデートは、順風満帆とはいきませんでした。

リリース直後から重大な問題を頻発し、丸一日経った頃には多くのユーザーが怒り心頭となり、公式のフォーラムは大炎上という状況となりました。リリース直後、PoE2はTwitchでも最も配信されているゲームとなっていたことからも、世界中のプレイヤーが高い期待をしていたことが伺えます。リリース後にGGGは火消しに奔走していますが、ユーザーの失望は大きく、状況の改善には時間がかかりそうな状況です。

ここでは、4月4日にリリースされた「Dawn of the Hunt」の、リリース直後に発生した大きな問題と、その対応などについて簡単にまとめてみます。

ゲームが終了してしまう – クラッシュが頻発

最悪なのが安易に「クラッシュ」してゲームが終了する問題を抱えていたことでした。ゲーム内で頻繁に行うことになる「街に戻る」という操作を行うと、警告メッセージ(Failed to deserialise object)が出てゲームが終了してしまう障害が発生しました。

PoE2 0.2.0 crash - Failed to deserialise object

この問題は、ゲームの進行状況は保存されているため、データが消失する様な致命的な問題ではありませんでしたが、ほんの少しプレイしただけで簡単に発生する様な不具合が発生する状況から、多くのプレイヤーが「品質に対する不安」を抱えることになりました。また、宣伝も兼ねている世界中のストリーマーの配信では、度々ソフトウェアの障害で中断してしまう状況が視聴者に伝えられる形となり、低い品質であることが世界中に知れ渡ることにもなりました。

この問題については直ぐに調査対応が行われ、リリースの翌日には多く発生していた手順(街に戻る)では発生しないようになりましたが、根本の原因は解決していない様子で、その他のパターンについては調査中とアナウンスされました。

バランスが悪すぎた新クラス 「Huntress」

アップデートの目玉でもある新クラス「Huntress」は、近接と遠距離の攻撃をする新しいプレイスタイルを提供するとして、リリース前から多くの期待を寄せられていました。

PoE2 - Huntress

しかし、リリース後に実際にプレイしてみると、ほとんどの攻撃スキルが使えないレベルで弱く設定されており、20近くある攻撃スキルの内で実用的な2~3個だけが使われるという状況となりました。多くの配信者がプレイしているにもかかわらず、どこを見ても同じような画面となり、PoE1にあった「多彩なプレイスタイル」や「自由度」のようなものが完全に損なわれていました。

あまりにも敵を倒すことが困難であったために、HuntressのプレイはPoE1にあった高難易度モード「Ruthress」のようだと揶揄する声が、公式フォーラムに多く寄せられるような状況でした。

まさかの新スキル「Cull the Weak」追加実装

またHuntressと共に、新しい盾「Buckler」を使って敵の攻撃を受け流す(Parry)という新しいアクションが追加されました。Parry後に特定の攻撃を与えることでFrenzy Chargeを得ることができ、それを消費することで様々なスキルが強化されるという仕組みが、Huntress(Spear & Buckler)の攻撃において重要という位置付けとなっていました。

しかし、安易なParryは致命的なStunを受ける危険性があり、Parryに成功しても特定の攻撃(Disengage)は当てずらい仕様とされていたため、そもそもFrenzy Chargeを獲得しずらいという仕様設計となっていました。

PoE2 Skill - Disengage

本問題の対処としてGGGは4月7日に、まさかの「新スキル: Cull the Weak」を実装することを決めました。この新スキルは、弱った敵に止めを刺す(Culling)効果を持ったスキルで、敵を倒すとFrenzy Chargeを得る事ができるそうです。使いずらいParryを使う必要がなくなることになります。

4月4日に0.2.0がリリースされてからこの発表まで、わずか3日しか経過していませんでした。これまでPoEを長く見てきましたが、リリース直後に新スキルでゲームバランスを立て直すという手法は見た覚えがなく、プレイヤーの批判がどれほど強かったのかが伺えます。

待望の近接攻撃(Melee)は絶望的

Huntress(Spear & Buckler)の戦闘スタイルは、近距離と遠距離の両方を使って立ち回る事を想定した設計となっていて、プレイヤーは大きな期待を寄せていました。そもそもPoE2のアーリーアクセスでは、Melee(近接)はメイスと新武器のQuarter Staffしか実装されていませんでした。特にメイスは動作が遅く、限定的な使い方しかできないような状況で、プレイヤーは多彩な近接武器で遊ぶことを望んでいたのです

しかし、Spearを使った近接戦闘はリスクが高いにもかかわらず、攻撃力が低く設定されており、爽快感もありませんでした。プレイを苦痛とさせる諸問題についての指摘が公式フォーラムに大量に寄せられることになり、その代表的な物を以下に紹介します。

頻発するラバーバンド

PoE2の敵はプレイヤーと比較して素早く、近接攻撃をするとプレイヤーはあっという間に取り囲まれてしまいます。そのためプレイヤーは、PoE2で与えられた緊急移動手段であるダッジロール(Dodge roll)をして囲みからの脱出を試みます。無事に脱出して戦闘を再開していると、突然敵の囲みの中に引き戻されてやられてしまうという「ラバーバンド」現象が発生するようになりました。

ラバーバンドは、通常MMO RPGなどのオンラインゲームで、ネットワークの遅延などによって発生する「一時的な巻き戻し」現象です。通信の遅延によって、クライアント側とサーバー側の整合性が取れなくなってしまった場合に、辻褄を合わせる際に発生します。

しかし、PoE2のこのラバーバンド現象は、ネットワークの遅延というよりも、ゲーム内の衝突判定などに起因している問題の様に見受けられます。つまり、回線等インフラの問題ではなく、ゲームの設計または実装に問題があると考えられるという事です。

残念ながらこの状態での近接武器プレイは、かなり理不尽さを感じることになり、PoE2の人気ゲームモードでもあるハードコアは現実的にはプレイ不可能なレベルでしょう。

本問題に対しては、敵のスピードの見直し(低速化)がされることが発表されています。本質的なSpearの攻撃力やダッジロールの衝突判定などは棚に上げておいて、容易な対応が可能な敵の速度を変更することで鎮静化を図りたいのだと思われます。

Spearの特徴のひとつ「出血」仕様の問題

PoE2からの変更で、出血(Bleeding)という継続ダメージのデバフは、「エナジーシールドがある場合には付与できない」という仕様があります。代わりに、PoE1と違ってエナジーシールドを貫通して直接体力(Health)にダメージを与える事が可能となりました。

Spearの大きな特徴である出血攻撃が実際に使われ始めると、シールドをもった敵に無力で、敵の体力(Health)にダメージを与える事すら難しいという酷い状況でした。4月9日の発表で、出血の仕様自体を変更し、PoE1のようにシールドの敵にも出血を付与できるようにするようです。(以下原文)

PoE2 - Bleed change

しかしこの場当たり的な対応には疑問も残ります。公式のフォーラムでも似た様な指摘が多く寄せられているようですが、ダメージの計算やシールド貫通の仕様との整合性といった挙動の心配から、出血をプレイヤーが受ける防御側への影響も懸念されています。

このプレイヤー達の声からは、PoE1とPoE2においてこだわって変更したと考えられる仕様を、たった数日の炎上で手のひらを反すような修正方針を出すGGGに対して、不信感の高まりのようなものが感じられます。

貧弱な防御選択肢

遠距離攻撃と違って、近接攻撃は敵からの攻撃を頻繁に受けることになるため、防御が非常に重要となります。PoE1には、覚えきれない程に防御の選択肢があり、プレイヤーは自由にキャラクターを設計することが出来ました。

しかし、PoE2のアーリーアクセスでは防御の選択肢が乏しく、せっかく新しい近接武器が実装されているのに、まともにプレイすることが難しいバランスとなっています。

これには、PoE1とPoE2の大きな方針の違いも影響していて、0.2.0がリリースされる前から指摘をされていた問題でもあります。PoE2は、緊迫する様なボス戦(Soul Like)を提供しようとしているため、プレイヤーはいくら防御に集中しても、「当たればやられる」バランスとなっています。そのためPoE2は、ダメージの軽減はほとんど意味がなくなっていますが、本問題についてはGGGも対応方針を決められずにいるようです。

残念なことに、前述のラバーバンドの問題と相まって、Huntress(Spear & Bucker)を近接武器として楽しむことは、非常に困難な状況と言わざるを得ません。例え出血やラバーバンドが修正されたとしても、肝心の防御仕様が変わらなければ、結局近接武器は「苦行」以外の何物でもないのです。

進行速度の低下 遅い移動速度と巨大なエリア

PoE1では、プレイヤーは効率を高めるために「速く周回する」ことを追求し続けました。高速移動スキルを連発し、敵を高い攻撃力でなぎ倒すという決まった行動を延々繰り返しながら、徐々にキャラクターを強化したり、資産を増やしていくという作業を、世界中の多くのプレイヤーが10年近く遊び続けたのです。

PoE2は、この高速な作業からの脱却が図られており、ゲームは鈍化し、高速移動スキルのほとんどが撤廃されました。そのうえ、マップは広く複雑化されており、プレイヤーは「探索」を余儀なくされることになりました。これは、エンドゲームと言われる最終の作業フェーズに入っても変わらず、何の意味もない「移動」というゲームを強制的にプレイさせられる仕様に、多くのプレイヤーが不満を抱えていました。

マップサイズは縮小されることに

PoE2のアーリーアクセスが始まってから、遅く調整された仕様の中でも、プレイヤー達は新しい環境で様々な実験を繰り返し、敵を効率的に倒してできるだけ速く周回して資産を増やす方法を探し続けました。

しかし0.2.0のアップデートによって、プレイヤー達が発見していた効率的な方法の多くは弱体化されてしまい、敵を倒すのにすら時間がかかるようになりました。マップの生成も手が加えられ、目的地が近かったマップも遠回りが必要とされるなど、良く言えば「長くプレイヤーが楽しむことができる」ような工夫がされましたが、これは当然プレイヤーの反感を買うことになりました。

GGGは4月8日に、批判の大きかった一部のマップサイズについて縮小する方針を発表しました。サービスの提供元としては、限られたアーリーアクセスのコンテンツを、出来るだけ長く楽しんでもらいたいという気持ちであることは想像できます。

しかし、ゲームとしては意味のない「移動」を長くしたところで、プレイヤーには何の楽しみも提供できないのです。

少なくともPoE1の時は、「工夫をする余地」を提供することで、プレイヤーの長期間プレイを引き出していました。PoE2のディレクションがユーザーを見ておらず、サービスの延命のような違うことに注力してしまっていることは明らかでしょう。

ARPGファンがLast Epochに期待する理由

PoE2のアップデートに期待を裏切られたARPGファンは、リリース日を変更することになったLast Epochのアップデートに一縷の望みを託します。Last Epochの公式フォーラムには、非常識なことに、別のゲームであるPoE2に関する批判的なポストも見受けられるような状況でした。それ程までに、PoE2とLast Epochのユーザー層は重なっているのです。

Last EpochとPath of Exileは、同じARPG(Action Roll Playing Game)のジャンルではありますが、根本的には別のゲームであって、両者には関連性はありません。プレイヤーは楽しいゲームを欲しており、両方が良いゲームになることを望んでいることには違いないでしょう。

ここでは、PoE2とLast Epochのアップデートの違いから、何故Last Epochへの期待が高まっているのかを確認してみます。

Last EpochとPoE2 – 製品版とEarly Access

PoE2は、前作PoEの後継ということもあって忘れてしまいがちですが、現段階ではアーリーアクセス(Early Access)であって、正式リリースには至っていません。要素は半分も実装されておらず、ゲームバランスも、アーリーアクセスで実装されている要素内で無理やり調整している状況と言えるでしょう。

一方でLast Epochは、2024年の2月24日に1.0をリリースしてアーリーアクセスを卒業しています。ソフトウェア全体の品質は安定しており、リリース後に細かな不具合の調整やバランス調整も幾度となく行われています。

つまり両者には、未完成版と製品版という大きな違いがあるということを認識しておかねばならないでしょう。PoE2のアップデートは進捗確認版であり、先行体験に他なりません。しかしLast Epochは製品版のアップデートのため、当然ユーザーは相応の高い品質を期待します。

ゲームバランスの調整方針の違い

PoE2のアップデートは、新規クラスの追加などリリースに向けた調整・実装という内容ですが、Last Epochのアップデートは、ゲームの追加要素とクラスやスキルのバランス調整が中心の内容となっています。

新しく大きな要素を追加すると、それまでのゲームバランスを破壊してしまう危険性があります。今回のPoE2では、残念ながら追加要素だけに留まらず、既存の要素にまでバランスの破壊が及び、全体的な品質の低下を引き起こす結果となってしまいました。

Last Epochのアップデートにも追加要素は多くあり、同じようなバランス破壊が発生する危険性ももちろんあります。しかし、基本要素のバランス調整項目は多く、その調整方針はPoE2と大きく異なっているようです。

タイトル調整方針
Path of Exile2強い要素を弱体化 (Nerf : ナーフ)
Last Epoch使われない要素を強化
PoE2とLast Epochのバランス調整方針の違い

Last Epochの修正は、これまで光の当たらなかった要素(スキルなど)を改善することで、プレイの幅を広げようとする調整が目立ちます。PoE2と同じように、強すぎて幅を狭めているものもあり、そういった物の調整もありますが、それも「新しい使い方」を提供する形が多く、決して数値を低下させる「弱体化」の調整ではありません

数値の調整は、プログラムの調整工数が少なくて済みます。時間やコストを掛けずにバランス調整をしようとすると、PoE2のような調整内容になってしまいます。

修正方針に見え隠れする「制作側の都合」

GGGを擁護するわけではないですが、こういった事はソフトウェア開発現場では十分にあり得る判断です。限られた時間やお金の中で実現可能な対応を選択するしかなく、その選択肢のどれもが「制作側の都合」となってしまい、「ユーザー考慮が足りない」ということは起こり得ます。予算なのかスケジュールなのかは分かりませんが、現場ではなくもっと上の方に大きな問題があると考えられ、決して開発をしているエンジニアの問題などではないでしょう。

今回のDawn of the Huntのリリース日程が、何故このような「品質を担保することが難しい」日程になったのかは分かりません。多くの人が噂しているように、本当にLast Epochを攻撃する様な目的で設定された日程だとしたら、これはPoE2(GGG)の大きな判断ミスと言わざるを得ないでしょう。

見切り発車でユーザーを失望させるくらいなら、謝罪して延期した方が軽傷で済むことも多いです。そして何よりLast Epochのリリース日程を「知らなかった」「被せた」どちらであったとしても、PoE2側のプロジェクトの進行やスタッフの認識に問題がある状況といえるでしょう。

ARPGの未来を信じたい

今回のPath of Exile2「Dawn of the Hunt」のリリースと、その後の炎上騒ぎからは、強者の驕りや怠慢のようなものを感じてしまいます。

驕れるものは久しからず 盛者必衰の理を表す (平家物語)

平家物語の言葉にあるように、勢いのあるものは必ず衰える運命であり、自分の力を誇っているような人は長くは続かないものです。GGGがプレイヤー数の多さに胡坐をかいていれば、愛想をつかされて短い期間で廃れてしまうこともありえます。

個人的にはPoE1を長時間プレイしていたこともあり、PoE2が最終的には大きな成功を掴み取ると信じてはいるつもりですが、今回の一連の騒動を見ていると、その信じる気持ちが揺らいでしまいます。願わくばARPGジャンルがより活発となり、切磋琢磨しながら両方とも良作へと進化していって欲しいものです。

PoE2の不安要素 – 体制とスケジュール

PoE2の体制には不安が募ります。PoE2の製作が発表された時に、PoE1とPoE2は両方並行でサービスを提供し続けるとユーザーに約束した手前、PoE2の製作が大変なこの時期でも、「PoE1のアップデート」を催促する声が絶えません。

また、PoE2のアーリーアクセス開始(2024年11月)した際には、正式リリースは約6か月後(2025年6月頃か)と発表していましたが、2025年4月段階のアップデートでこの有様のため、正直世界中のプレイヤーはリリース日程については「絶望」と「諦め」の気持ちでしょう。PoE2のアーリーアクセスや製品版リリースなどについては、以下の記事の冒頭にまとめてありますので、興味のある方はご覧ください。

PoE2のビジネス – リリースを乗り越えるまで

PoEのビジネスモデルの成功は、3か月ごとの定期アップデートをすることでユーザーが戻ってくるようになったことであると、GGG自身が発表しています。年4回の大型アップデートは、計画も実装も大変であることは、ソフトウェア制作の現場を知らない人にも想像するのが難しくないでしょう。

それを、並行で2本回す体制が、今のGGGに準備出来るのでしょうか。今のところは、「二兎を追うもの」になっているようにしか見えず、今後大きな決断を迫られるのではないかと心配しています。

ソフトウェアは、一度「未実装」がなくなると格段に品質が上がっていくものです。PoE2のリリースに向けての実装状況がどのくらいかは分かりませんが、PoE2は現状の試練を乗り越えて正式リリースを迎えれられれば、その先には安定したアップデートサイクルとビジネスの成功があるのかもしれません。

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