irony – ClariSの曲で知りNinomae Ina’nisの会話で身に付く英単語

irony 雑学

英単語の知識には、「知っていて使える」レベルのものがある一方で、「意味まで知ってても使えない」ものや、「意味は知らないけど聞いたことがある」というものなど、色々なものがあるでしょう。単語帳などで機械的に習得した単語などは特に、実際の会話などで使おうとしても、その単語がなかなか出てこないといったことがよく起こります。

今回は、「知ってはいたけど会話で始めて聞いた」英単語として、ironyという言葉をとりあげてみます。単語の習得では、単純に意味を知るだけでなく、実際に使われているシーンなども一緒に覚えておくことで忘れにくくなり、会話の中で応用が利くようになると思いますので、是非参考にしてみてください。

ironyは「皮肉なこと」

ironyという英単語は、「皮肉」「反語」「あてこすり」といった意味の言葉です。「皮肉なことに」といった逆説的な言い回しにも使われます。カタカナで無理やり表現するとしたら「アイロニー」ということになるでしょう。

日本語で有名な以下の比喩表現でも、英語ではironyの単語を使って表現します。

irony of fate : 運命の皮肉 (いたずら)

この英単語は比較的日本でも知っている人が多いと思いますが、使わなくても似た様なニュアンスを伝える単語や表現も多いからか、英語の日常会話ではあまり聞く機会が多くないようにも思います。

今回は、実際の会話の中で登場したシーンを紹介しますので、使い方・使われ方の参考にしてみてください。

Ninomae Ina’nisさんの面白いエピソード

以下の切り抜き動画は、Ninomae Ina’nisさんが配信で語られた一部で、日本語が上手になったと褒めてくれているのにもかかわらず、(皮肉にも)その褒め言葉が理解できなかったというエピソードとなっています。

この動画の中でironyが使われている文章を以下に切り出してみます。英文はYoutubeが自動生成された字幕から抜粋しているため、実際の発言とは異なる可能性があります。以下の和訳は切り抜き動画制作者さんが字幕に付けられている素晴らしい和訳から抜粋させていただいています。

英文 : The irony was that I did not understand what they said.
和訳 : 皮肉なことに…その言葉が理解できなかったんだよね

特に言語学習者としては、辞書などで出てくる例文よりも身近な内容で、状況が理解しやすく、覚えやすいのではないでしょうか。

関係代名詞が2つ登場しているため、ちょっとわかりづらいかもしれませんが、文章構造としては以下のような形になっています。

原文 : The irony was that I did not understand what they said.
分解 : それは皮肉な事だった ← それが理解できなかった ← 彼らが言っている事
直訳 : 彼らが言っている事 が 理解できなかった ことは 皮肉だった。

この会話からは、皮肉なことに…という文章を作ろうとしたら、とりあえず「the irony was that」で文章をはじめて、その後に「何が皮肉だったのか」という状況を付け加えればよいことが分かります。今回紹介した状況のような、ちょっとした自虐ネタなどを披露する際には、結構使えそうな表現のようにも思います。

has gotten good : 良くなった、上手になった

この話に続いて、ina’nisさんは以下のように語っています。

英文 : when they said my Japanese has gotten good.
和訳 : 「日本語上手になったね!」と言ってくれたのに

この表現は言語学習者の会話でよく出てくるため、合わせて紹介します。「英語が上手になった」とか「日本語が上手になった」といった表現で、get good (良くなる)を使っています。それが現在完了形(have + 過去分詞)の形に変化して、has gotten good(良くなった)となっています。

同じ意味ですが、単語一言でimproved(改善された、良くなった)もよく使われる表現なので、覚えておくとリスニングなどにも役立つでしょう。

切り抜き動画内では、その後にもう一度ironyの単語が使われています。

英文 : mane-chan was laughing at the irony.
和訳 : マネちゃんはその状況の面白さに爆笑してた

at the ironyで「皮肉な事・皮肉な状況」を指していますが、それを「その状況の面白さ」と訳している切り抜き動画さんのセンスが、とても日本人の会話らしくて素敵です。

Ninomae Ina’nisさんについて

Ninomae Ina’nis(一伊那尓栖)さんは、ホロライブ Englishに所属しているタレント(VTuber)で、背中にある怪しい触手がとても印象的です。(一伊那尓栖 | 所属タレント一覧 | hololive(ホロライブ)公式サイト)

Youtube上での活動は、ゲームや雑談の他、絵を描く配信などもされています。英語の他に、かなり上手な日本語を話され、日本の食事や文化などにもかなり詳しい方のようです。馴染みある日本についての話題を英語で聞くと、言語の勉強になるだけでなく、海外から見た日本の印象や異国文化との違いなどを知ることが出来て、とてもありがたいです。(YouTube : Ninomae Ina’nis Ch. hololive-EN)

ちなみに、Ninomae Ina’nisさん漢字表記「一伊那尓栖」は、日本人としてもかなり難読な漢字でしょう。漢数字の「一」が「2の前」だから「にのまえ」という、ちょっと洒落た日本の名字で、面白いですよね。2025年現在、日本全国で「一」を名字に持つ人はおよそ370人しかおらず、他の読み方としては「はじめ」とか「ひともんじ」のようなものがあるそうです。(出典 : 名前由来 net)

翻訳切り抜き動画チャンネルについて

今回紹介させていただいた切り抜き動画は、以下のチャンネルで製作されたものとなっています。

切り抜き動画様 (YouTube Channel) : たー【ホロライブわいわい切り抜きch】

このチャンネルでは、ホロライブの気になったものをほぼ毎日切り抜いて更新されているそうです。英語話者である海外の人の面白いシーンなどを中心に、日本語訳の字幕付きでたくさんの動画を制作されています。この記事に辿り着いている人であれば類似コンテンツを楽しんでいる方が多いかもしれませんが、興味のある方は是非チャンネルも見に行ってみてください。

YoutubeやVTuber文化と共に、こういった翻訳切り抜き動画を制作されている方がいるおかげで、英語を含めた外国の文化を身近に体験することができ、本当にありがたいです。英語などの言語学習に役立つだけでなく、海外の人の考え方を知ることが出来たり、逆に日本の文化の素晴らしさを改めて知ることも多いです。楽しい会話を聞きながら学ぶこともできるなんて、本当に素敵な事だと思うのです。

ironyといえばClariSの曲名が有名

ironyという英単語は、日本では意味を知らなくても単語自体を知っている人はいるかもしれません。少し古いですが、アニメの主題歌(OP曲)のタイトルにもなっていたことがあるからです。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない」というライトノベル原作のアニメが、2010年~2013年頃に放映されました。ironyというOP曲は、kzが作詞・作曲・編曲・プロデュースを手掛け、当時中学生だったClariSが歌唱を担当しており、ClariSによれば、歌詞の内容は素直になれずにいる10代の少女の気持ちを描いた内容であるとされています。

ClariS - irony

ClariSは、その後超話題作となった魔法少女まどか☆マギカのOP曲「コネクト」を担当したことでも有名です。

私はアニメをたくさん見ている方ではありませんが、このアニメは観たことがあって、とても面白くて何度も繰り返し視聴した記憶があります。笑えるだけでなく、兄弟を中心に細かな人間模様が描かれており、感動する場面も多かったように記憶しています。そのため、OP曲にも特別な思い入れもあって、ironyという曲名(英単語)と共に記憶の片隅に刻まれていました。

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」が2025年にパチンコへ

もうアニメは13年も前に放映されており、最近では話題になることも少なかった「懐かしいアニメ」だったはずなのに、ironyを調べていたら、2025年にパチンコになって復活することを知りましたので、ここで合わせて紹介します。

私はパチンコを嗜まないのですが、上記紹介映像を見ていると、昔の記憶が戻ってきてとても懐かしい気持ちになりました。映像内に流れている曲は、上で紹介したClariSのironyとなっています。

パチンコをやらない私には、最近のパチンコがどのような構造をしているものかもよく分からないので、映像内のどこからどこまでがパチンコの演出なのかは判断が出来ないのですが、懐かしのキャラクターたちが様々な台詞でゲームを演出していることは理解できて、とても楽しそうに見えます。アニメを楽しんでいた身としては、全演出を見ているだけでも楽しめてしまいそうです。

単語を知り、シーンで使い方を覚える

私の個人的な感覚ですが、英単語を覚える場合には複数のステップがあるように感じています。

最初のステップは「英単語の存在を知る」です。今回の例ではClariSのironyという曲を知ったという状況で、この時には単語の意味や発音などは理解せず、ただ単純に「単語の存在」を認識したというだけです。これは曲名だけでなく、日用品などに書いてある英単語など、様々な所で起きていることですが、商品名や曲名などは本来の目的には影響しないためか、あまり気にせず素通りしてしまうことも多い気がします。

二つ目のステップは「使い方を覚える」です。今回の例では、Ina’nisさんの切り抜き動画で知っている英単語が耳に入ってきて「こうやって使う単語なのか」と理解し、その一連のシーンが単語とセットになって記憶された瞬間です。このことによって、「irony = 皮肉」が「The irony was that = 皮肉なことに」という会話内でのパーツとして改めて記憶されたわけです。このプロセスを経て初めて、脳内の文章構築にその単語が登場し始めるように思います。

会話の流れや、映像付きのシーンなどで「単語が使われる状況」を覚えておけば、自分が類似した状況になったときに「思いつくように」なるのです。これは、親の真似をして言葉を覚える赤ちゃんの言語習得と同じ状況といえるかもしれません。

学生時代に必死に覚えた単語帳の英単語は、大人になった今はほとんど覚えていないように思います。もちろん使う頻度の高い英単語は覚えており、義務教育ではそういう英単語を覚えさせようという意図があるのだと思うのですが、もう少し「生きた言語」を学びたかったと思えてなりません。

今回紹介した記事のように、関連した事柄や使われるシーンなどと共に学ぶことで、「言語の知識」ではなく「生きた言語」として自身の糧になるように思います。

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