今回は私たちが生きていくために必要となる食料に関する記事ですが、食料そのものではなく調味料に関することで、ちょっと気になったことをまとめてみます。
日本では「うま味調味料」としては、味の素株式会社が提供している「味の素」が非常に有名で、多くの料理や食品に含まれていて、一部料理研究家の人たちの中にはこの調味料が欠かせないという人もいる程です。
今回の私の疑問は「うま味調味料」の事を英語ではMSG(MonoSodium Glutamate)と呼ぶことで、グルタミン酸ナトリウムなのにナトリウム(Na)が英語に含まれていないことへの違和感です。銀(Ag)が英語のSilverでなくラテン語由来だったことと同じ匂いを感じますが、この疑問について掘り下げてみることにします。
味の素は「うま味調味料」
味の素は、L-グルタミン酸ナトリウムを主成分にした「うま味調味料」に分類されていて、日本のスーパーなど様々な所で見かけることができるほどに、愛好している人が多い調味料の一つです。
日本の食の伝統で欠かせないのが「出汁」の文化で、色々な料理を作る際に、昆布やイリコなど様々なものをスープなどと一緒に煮込むという手間をかけることで、味に深みが増すといった、何とも日本らしい「食べる人を喜ばせる事を重視した」素晴らしい風習があります。
この味の素は、昆布などに含まれる「アミノ酸(グルタミン酸)」を基にしたうま味調味料で、手間暇かけずに味に深みを持たせることができるという優れものです。
味の素は体に悪い?
正直に言うと、昭和に生まれた私の家庭では「味の素」は良くないとされていました。今は多くの食品に含まれていたり、料理屋さんで使われていたりもしていて摂取する機会も増えているのですが、未だに「味の素は体に悪い」という思想は耳にすることがあります。
結論から書くと、味の素(うま味調味料)は体の健康を害するものではありません。
うま味調味料は、日本だけでなく国連や海外の国々などでも「安全である」と認められています。ただし「通常の利用」であることが大前提で、大量に摂取するなど異常な利用方法をした場合はその限りではありません。これは醤油や塩など他の調味料でも同様です。料理の味付けなど、想定された通常の利用方法で適切に利用していきましょう。
アジシオ
料理をほとんどすることがない私には「味の素」はあまり出番がありませんが、同社が提供している「アジシオ」は本当に大好きで、ゆで卵などを食べるときなどに活躍しています。もはや「アジシオ」を味わうためだけにゆで卵を作っている気がするほどです。
アジシオは、その名の通り「塩」なのですが、昆布のうま味が加味されたもので、普通の塩よりも一層「おいしく」感じます。また、塩自体の分量/密度は純粋な塩に比べると低いため、減塩にもなるそうです。
また、あまり話に聞くことは少ないですが、個人的には「固まらない」のが実は結構ポイントが高かったりします。似た様な形状で販売されている塩を購入すると、中身が固まって振っても中々中身が出てこなくてイライラするということがあったりしますが、このアジシオは固まらず、いつでも簡単にパラパラと出てきてくれます。その上おいしいので、いつのまにか私はこの「アジシオ」一筋になってしまっています。
海外では「うま味調味料」はMSG
「うま味調味料」という名称は、いかにも日本風な名前で、海外では何と表現していいものか悩ましい問題かもしれません。味の素やアジシオが食卓に並んでいても、海外の人に説明するのに「塩みたいなもの」のような曖昧な表現をしてしまいそうです。
英語で「うま味調味料」に該当する言葉は「MSG」です。
MSGはタイトルにもあるように「MonoSodium Glutamate」の頭文字を取ったものです。グルタミン酸ナトリウムを英語で表現するとこのようになります。
一本だけYoutubeの動画を紹介します。以下は海外の方が日本で塩を購入しようとして「かわいいパンダの入れ物の塩」を購入したところ「しょっぱくなかった」という話をしたら、視聴者から「それはMSGだよ」と指摘された際の反応を切り抜きされたものです。
全編英語で話されていますが、親切に英語字幕が付けられています。これMSGなの!?という感じで、何度もMSGという単語を連呼していて、本当にそのように表現することがイメージとして理解しやすいかと思います。
確かに日本の販売店では塩などの調味料コーナーに味の素は置いてあることが多いため、海外の人からは「塩」だと思われて購入されてしまうことがありそうです。是非「アジシオ」を買ってほしかったところですが、パッケージの可愛さが販売動機になることがあるのも興味深いところです。
「MSGはアメリカでは禁止されている」というデマを耳にすることがありますが、実際にはアメリカでも安全と認められています。ただし、MSGに対する偏見は日本と同じようにあるようで、販売されている調味料などにNO MSGといった表記があるものも存在しているようです。
うま味調味料は「ナトリウム」
そろそろ最初の疑問に踏み込んでいくことにします。
グルタミン酸ナトリウムがMSGと呼ばれていることは判りました。MSGはMonoSodium Glutamateで、グルタミン酸はGlutamateなのでしょう。ではナトリウムはMonoSodiumということになります。ナトリウムは元素記号ではNaで、英語でもナトリウムだと思っていたのですが、どうやら違うようです。周期表にもナトリウム(Sodium) : Naと表記されていることもあるようです。
ナトリウム = Sodiumで、MonoSodiumは単一のナトリウムという意味のようです。日本人の私からするとSodiumという単語にはあまり馴染みがありません。
ナトリウムの語源はドイツ語!?
銀のAgが語源を調べていくとラテン語で、アルゼンチンやアルゲンタビスに繋がっていたことには大変驚き記事にもしたので、今回のナトリウムの語源もラテン語なのかと思っていました。
ナトリウムの語源を調べてみると、色々な言語から由来しているとされているようですが、元素記号のNaは、ドイツ語の「Natrium」に由来しているようです。
これは正直ちょっと意外でした。ラテン語ではsodanumと表現するようで、どちらかというと英語のSodiumに繋がっているように見えます。一体元素記号の表記はどういう基準で選定されているのか、それについても調べたくなるほどにバラバラな気がします。詳しくは判りませんが、発見した人の地方の名称が付けられたとか、おそらくそういった権利面などが影響しているのだろうと推測します。
「おいしい」に感謝
生物は食べなければ生きていけません。人間だけでなく、どのような生物も食事をしますが、できれば「おいしい」ものを食べたいものです。
今回紹介した「うま味調味料」は人間が考え出した「料理をおいしく食べる」工夫であり、技術です。簡単で安全においしい料理を食べることができるこの調味料はとても画期的で、開発した技術者の人たちには感謝したいほどです。
一方で、よく分からないものを口にしたくないとか、安全だと認定されても不安がある人などは、摂取することを避けるのも自由だと思います。ただ、「使うべきだ」とか「使わないべきだ」といった相手へ主張を押し付けるのは避けたいところです。やっぱり有り・無しで味の違いを比較してみないと、うま味調味料の威力というのは実感できないのかもしれません。そういう私も「味の素」の有り・無しについては比較したことがないのでよく分かりません。
ただ、「塩とアジシオの違い」は手軽に確認することが出来て、両方塩として使えるため無駄も出にくいので、是非「うま味調味料を使ってみたい」と考えている人は、試しに小さいアジシオから手に取ってみてもらえればと思います。オススメです。
今回はアジシオを推すだけの記事のようになってしまいましたが、「身近なところにある不思議」という点からナトリウム(日本語) = Sodium(英語)、そして「うま味調味料は英語ではMSG」と呼ばれているということをまとめてみました。身近な所にあるちょっとした不思議を調べると、意外なところで知識が繋がったりして楽しかったり、見識が広がることで人生が豊かになると思いますので、是非試してみてください。