英単語の中には、音がそのままカタカナの日本語として使われるようになっているものがあります。特にゲームやe-Sportsなどの世界では、レベルとかアイテムのように元々英単語だったものが、カタカナの日本語になって定着しているものが多くあります。
今回は、近年日本のe-Sportsなどの界隈で「結果としてワース」のように使われることが多くなった、カタカナ語の「ワース」という言葉についてまとめています。カタカナでワースとなる英単語にはworthとworseが存在し、英語での発音が違うだけでなく、意味も大きく異なります。この言葉を使う場合には十分注意が必要なので、是非確認してみてください。
カタカナで「ワース」となる英単語 – worth / worse
カタカナでワースとなる英単語には、worthとworseの2種類があります。それぞれの単語の意味を比較すると、概ね以下のようになります。
英単語 | カタカナ表記 | 意味 |
---|---|---|
worth | ワース | 価値がある |
worse | ワース | 悪い |
ワースという同じカタカナの言葉ではありますが、元の英単語では「価値がある」と「悪い」といった、逆のような意味の単語が存在するため、使い方には注意が必要です。日本語で使う場合には、相手と認識があっていれば大きな問題にならないことが予想されますが、英語だと思って安易に使ってしまうと、相手に誤解されたり不快に思われることになりかねません。
worth – 価値がある
英単語の「worth」は、「価値がある」といった意味になります。ひとつ例文をみてみましょう。
(英文) This guitar is worth two thousand dollars.
(和訳) このギターは2千ドルの価値があります。
上記例のように、物の価値がある場合に使われる他、自分にとって価値があるといった概念的なものにも使われることがある言葉です。発音記号ではwə’ːrθで、th音がありますが日本語のカタカナでは「ワース」に近い響きとなります。
worse – 悪い
カタカナでワースと表現できる英単語には、worthの他に「worse」もあります。「悪い」「ひどい」のような意味をもった単語です。
worseは発音記号ではwə́ːrsとなり、最期の音がs音になっています。日本人的にはth音とs音の聞き分けは難しいかもしれませんが、この小さな音の違いで意味がまったく異なるために、使用する場合には注意が必要です。こちらもひとつ例文を紹介します。
(英文) The storm is getting worse.
(和訳) 嵐がひどくなってきました。
上記例文のように、日常会話の中ではgettingとあわせて「悪くなっている状況」を表す場合に頻繁に使われます。どんどん酷くなっている、だんだん悪くなるという意味で「getting worse and worse」という表現は、特に英会話の頻出イディオムとして知られています。
二つのワースは、似た音を思った単語ではありますが、意味が全く異なっているため、日本人は特に注意しなければならないでしょう。
「結果としてワース」の意味
近年盛んなe-Sportsの分野などで聴く言葉に、「結果としてワース」のような表現があります。
これは英単語の「worth」を基にした日本の造語で、「価値がある」という元の意味から、「プラスとなった」「結果的にOK」といった意味で使われています。
チームで戦う競技などで、一人が犠牲になったけれどもそのおかげでチームが勝利することが出来た場合などに、その犠牲は痛いけれども「結果的にワース」といったように使われます。VALORANTやLoL(League of Legend)のようなe-Sportsの競技シーンにおける実況だったり、そういったゲームをプレイするストリーマーの会話の中で聞くことがあるでしょう。
競技シーンでも活躍するストリーマーの方の中には、失敗などをごまかすために、理由を付けて「結果としてワース」というような冗談を言う人もいるでしょう。この失敗は、「大事な経験である」とか「成功するための重要な布石なのだ」といった意味で使われていて、ただの失敗ではないことをアピールする意図で使われていて、とても面白い使われ方だと思います。
カタカナ語のせいで間違えやすい英文読解
e-Sportsは広い世代が楽しんでいる比較的新しいエンターテインメントですが、これまでのアナログスポーツと違って自分たちも気軽に参加することもできるため、多くの人が見るだけでなく実際にプレイして楽しんでいます。特に近年のインターネットの普及に伴って、若い世代における新しい遊びや趣味となっていることもあり、学業との両立をしながら隙間時間に楽しんでいる人もいるでしょう。こういった人たちの中には、遊びでe-Sportsを楽しんでいる一方で、学校や塾などで勉強しているといった人もいると思います。
世界のe-Sportsの試合などを観戦すると、同時に英語の勉強にもなったりもすることもあるので、積極的に新しい文化に興味を持って触れ合っていくことは良い事でしょう。しかし、今回取り上げている「カタカナ語」には注意が必要です。
英語の試験などで「worse」という英単語が出てきたとき、頭の中で「ワース」と読んで「価値がある」としてしまうと、それは誤りです。価値があるのはthの「worth」の方です。
この誤り自体は昔からよくある間違いでもあり、似たような事例で「worth」を「最低」と読み取ってしまうということもあります。これは日本語で使われる「ワースト : worst」という単語(意味は最低や最悪)がとても一般的に認知されていることに起因している間違いで、worthは価値がある意味なので全く逆の意味で捉えてしまうという致命的な誤りです。
e-Sports界隈で使われるワースを、単純に価値があるという意味で理解するのではなく、英単語のworthが基になっていて、似た様な音の単語にはworse/悪いという意味がある事を知っておけば、英文読解の試験などでこれらの単語がでてきても間違えないようになると思うので、是非この機会に覚えてみてください。
カタカナ表記の危険 – Among Us
カタカナ表記に関する似た様な事例を一つ紹介します。
Among Usという人気ゲームがあり、公式の発表では日本語表記は「アモング アス」とされています。Among Usはゲームのタイトルとしてとても有名になりましたが、英会話の中で結構使われる表現でもあり、映画などでも「私たちの中の誰か」といったような言い回しで度々耳にします。

Amongという英単語の発音記号はəmʌ’ŋです。普通にカタカナ表記すると間違いなく「アマング」でしょう。何故公式がアモングとしたのかその意図は判りませんが、ネット界隈ではアモング・アマング論争も起きていたようです。
問題となっているo(オー)の音ですが、この音は母親を意味するmother(マザー 発音記号:mʌ́ðər)と同じ音です。日本人には分かりにくいかもしれませんが、英語ではoの音をア、aの音をオに近い発音をする単語が多くあります。よく例に出される単語としては、workはワークで、walkはウォークがあります。
ゲームのAmong Usの事をアモアスと表記することは、公式の発表に準じているので間違いではありませんが、英語のAmoung Usをアモングアスと読んでしまうと、それはMotherをモザーと読んでいるのと同じくらい恥ずかしい間違いをしていることになるので注意が必要でしょう。英会話でアモングと言ってしまうと間違いなく相手には伝わらないので、正しい発音と意味を合わせて覚えておきましょう。
カタカナの外来語は元の単語も一緒に覚えよう
カタカナという言後システムは、外来語を音で表現して取り込むことに使われていて、多くの言葉をスムーズに利用することができるため、とても優れていると言えるでしょう。しかしその一方で、本来の単語を変形して自分たちの言語体系に取り込むという習慣が根付いていることで、言語学習を進める上で誤解や誤りをしてしまいやすい環境ともいえます。
何故なら、日本人は「カタカナ語」として覚えた後に、更に「本来の単語」を覚えるという作業を行い続けているからです。人によっては「本来の単語」を知らないままで済む人もいるかもしれませんが、インターネットを通じて日本語だけでなく英語など海外の人やコンテンツと触れ合う機会がある人は多く、そういった人たちはこの2段階の習得を行い続けています。
明治時代の日本語廃止論者ではありませんが、日本語という言後システムは他の言語に比べて複雑で、習得することがとても大変な言語の一つです。その要因の一つが平仮名・カタカナ・漢字という3種類の文字システムがあることで、日本人は外国人に比べて「言語の習得に脳のリソースを多く割いている」とされることがあります。
今回のワースについても、カタカナのワースを覚えるのではなく、脳内で「worth」と英単語で直接覚えてしまえば、覚える量は半分になり、変な間違いをすることもなくなるためとても合理的でしょう。同じようなことは国名の中にもあり、イギリスやオランダのような、英語や現地の国名と違う日本独自の国名は日本でしか通じず、英語学習の大きな足かせとなります。元の国名であるUKやNetherlandsと日本国内でも使われていればよかったのですが、これらには日本と海外の歴史が影響しており、受け入れるしかありません。
カタカナはとても便利ではありますが、新しい外来語由来の言葉を覚える場合には、必ず元の単語も一緒に覚えるようにするのがオススメです。
本サイトには、似た様なカタカナ語「ブライト」について紹介した記事もありますので、興味のある方は是非そちらもご覧ください。
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