日本が亜熱帯化してゲリラ雷雨が頻発する理由

亜熱帯化する日本 雑学

最近は、夕方などの時間に突然物凄い雨が降ったりして、ゲリラ雷雨として報道されることも多くなりました。夕方に振る突然の雨の事は夕立と言って昔からありましたが、近年のように街全体が水に浸かってしまうような激しさはなかったように思います。

今回は、この頻発するゲリラ雷雨の原因について取り上げているニュースから、改めて温度と湿度の関係と危険性について確認していってみます。

日本が亜熱帯化

2024年8月24日に、なかなか激しいタイトルのニュースが報道されていましたので、以下に引用して紹介します。この動画によると、日本は既に亜熱帯になっていると指摘する声があるとされています。

確かに、最近の夏は少しコンビニなどに買い物へ行こうと外に出ると、まるでシンガポールやインドネシアといった南国にいるかのように、凄まじい蒸し暑さを感じ、一気に汗が噴き出てきます。この暑さは年々激しさを増しているのか、特に今年の夏は一段と暑く感じます。エネルギーの高騰などの関係で出来るだけ空調の使用を控えたい気持ちもありながら、あまりの暑さにエアコンを使わずにはいられません。

引用動画 : 頻発するゲリラ雷雨…なぜ?“日本は亜熱帯化”指摘も【サタデーステーション】(2024年8月24日)

本動画内で、日本が亜熱帯化していっている原因について言及されています。

三重大学の教授の解説では、この亜熱帯化の原因の一つに「黒潮が蛇行している」ことが挙げられています。つまり、南の温かい海水が北側に移動してきているため、日本全体がまるで亜熱帯の気候のようになってきているというのです。

黒潮の蛇行

気候変動関連のニュースや情報などでも、地球の気候変動の根本的な原因として海水温の上昇が挙げられているのも目にします。

北極海の氷が解けて、新しい航路が生まれたり、これまで取れなかった海産物が取れるようになるといった良いニュースと共に、今回のように今まで以上に大量の雨が降るようになったり、観光地になっていた流氷が溶けてしまうといった悪いニュースも聞くこともあります。

夕立というレベルではない雨量

とにかく最近のゲリラ雷雨と言われる雨は、その雨量が尋常ではないように思います。

以下のニュースは「記録的短時間大雨情報」という発表が、10年で初めて出されたと伝えています。このニュースは2024年8月21日のもので、前述のニュースの3日前となっています。ゲリラ雷雨の雨量だけでなく、その頻度がとても高いことも伺えます。

溜まった水の中を人が歩き、道路に溜まった水で車が立ち往生するといった大雨の凄さを伝えるニュースの中、東京都心にある地下鉄の模様も伝えられています。地下鉄構内に雨が流れ込み続けるのを防ぐ目的で、入り口などが閉鎖される対策がとられたと伝えられていますが、肝心の地下鉄の運航には影響がなかったそうです。日本の鉄道会社や街の設計がいかに優れているのかを改めて思い知らされます。

ただ、残念ながら空の便は運転を見合わせるなどの影響が出ていたようです。突然やってくるゲリラ雷雨なので、飛び立つ前だったらいいですが、着陸直前に空港付近にゲリラ雷雨がきたらどうなってしまうのだろうと、最近は飛行機にあまり乗らない私でも少し怖くなってしまいます。

湿度が同じでも気温が高いと危険という話

日本の夏はただ暑いだけでなく、高い湿度も有名で、よく海外から日本を訪れた観光客などが悲鳴を上げている声を耳にします。日本に住んでいる一般的な日本人でも、この蒸し暑さには肉体も精神も疲弊させられるものです。

2024年の日本では、気温が40度に達し、湿度は80%とか90%とか恐ろしい数字が報道される日が続いていて、数十年後には気温は50度に達する日も来ると予想されていたりもします。世界規模では既に気温が50度を超えるようになっている地域もあり、暑さで亡くなってしまったり体調を崩す人が続出するというニュースも入ってきています。

同じ湿度であっても、気温が高いと意味が違うということを改めて知っておかねばなりません。

私たちが一般的に使っている気温と湿度という言葉ですが、気温が絶対的な指標であるのに対して、湿度には絶対湿度と相対湿度があり、私たちが使っているのは相対湿度となっています。相対湿度というのは、現在の気温において空気中に水がどの程度含まれて飽和状態にあるかという指標であって、空気中に含むことができる水の許容量は気温(温度)によって変化します。

同じ湿度であっても、気温が高いと「含まれている水の量は多い」状態である事に注意が必要です。つまり、気温が高い日は雨になった時に振る雨量も増えるという事です。気温が高くてカラッと乾いているのであれば別ですが、日本ではそんな日を体感できる場所は限られているでしょう。

同じ水分量であった場合、気温が下がれば湿度は高まり、気温が上がれば湿度は低下します。以下に気温と絶対湿度(空気中の水分量)から私たちの使う相対湿度がどのようになるのか、参考として表にしてみます。

気温絶対湿度 0.004 (kg/kg)絶対湿度 0.008 (kg/kg)
30度15%30%
20度27%55%
気温と絶対湿度と相対湿度

この表では絶対湿度が一定なので相対湿度が変化していますが、私たちが目にするのは「相対湿度が一定で温度が変化する」状況でしょう。つまり、湿度が昨日と同じ80%で、気温が5度くらい高いといった状況です。この状況は、空気中に含まれている水分量が劇的に増えていることと同じことであるという事を、改めて認識しておく必要があるでしょう。

雨は嫌いではないけれど

私自身は雨が嫌いではありません。しっとりと降る雨は、自然の美しさやゆっくりとした時間の流れを感じることができるからです。時々小野小町の短歌を思い出したりもして、風情を感じながらもどこか物悲しい気持ちにもなることがあります。

しかし、近年の激しい雨からは風情を感じるどころか、あまりの強さに恐怖さえ感じることがあります。雨だけでなく風や雷などを伴うことも珍しくなく、住んでいる家や地域、世界はどうなってしまうのだろうかと不安に感じるのです。

私は雨の中歩くのも嫌いではないので、軽い雨が降っている時は、スーパーや飲食店などのお客さんが少ないかもと、ちょっとワクワクするような日もあります。ですが、ゲリラ雷雨と言われるような激しい雨が降っている時は、さすがに私も外出を控えますし、ワクワクする気持ちも湧きません。突然そういった雨が降った時も困らないように、日用品や食料品などは家にいくらか買い置きをしておかないと、ゲリラ雷雨の中買い出しにでるという恐怖体験をしなければならなくなります。

歴史が好きな私としては、過去の出来事などで雨が降る状況というのは色々な場面で登場しますが、昨今のゲリラ雷雨のような突発的で強烈な雨というのは、昔からあったのだろうかというのが気になったりもします。

これから先はどうなっていくのでしょう

気候変動について騒がれ始めてから、かなり長い年月が経っているような気がします。カーボンニュートラルとか、脱炭素とか様々な新しい単語が使われるようになりましたが、私たちの生活はあまり変わっていないようにも思います。

気候変動について多くの学者や専門家の方たちが研究を続けており、現在は気候変動を否定する報道や記事は広告が付かなくなるような措置も見受けられるようになり、現実として気候変動が起きていることを世界中の人が受け止めることが求められている世の中になっているように思います。

一部の人たちは、現在の利便性を排除してでもこの気候変動を食い止めるべきと声をあげているようですが、一度利便性を享受してしまった人類が、また不便な生活に戻るような時代に逆行した変化は起こりえないのではないかと思います。生きるために必要な措置もあるでしょう。少なくとも、現在生きている私たちが困っている問題が解決したり、より高い利益を得られる方向で進めなければ、この問題は進まないようにも思います。世の中には、未来の人類がとか、子供たちの未来のために、といった高尚な事を追い求める人ばかりではないと思うのです。

とりあえず、一個人として出来る事は、今日も夕方雨が降るかもしれないので、カバンの中にはそっと折り畳み傘を入れておき、外は暑いのでエアコンの利いた室内からは出来るだけでないようにすることくらいでしょうか。

コメント