言語には似た意味の言葉でもニュアンスの異なる単語が多くあります。
日本語で「飲む」と「飲み込む」が別の言葉であるように、英語でも同じように「飲む」と「飲み込む」は区別されていて、異なる単語が使われます。今回は、英単語のdrinkとswallowについて詳しく紹介しています。
「飲み込む」を意味する英単語 – swallow
「飲む」という動作にはdrink(ドリンク)が使われ、「飲み込む」はswallow(スワロー)という単語がよく使われます。
英単語 | 日本語訳 |
---|---|
drink | 飲む |
swallow | 飲み込む |
それぞれの単語について確認していきましょう。
drink – 「飲む」と「呑む」
drinkは名詞では「飲み物」、動詞としては「飲む」という英単語です。
日本語でも、カタカナで「ドリンク(栄養ドリンク,ドリンクバーなど)」という外来語が定着しているため、日本人には馴染みのある英単語でしょう。
日本語の「飲む/呑む」と同様に、英単語のdrinkにも「お酒」のニュアンスがあります。
動詞としてのdrink(呑む)だけでなく、名詞として使われても「お酒」という意味になる場合もあります。日本語と同じように、文脈によっては「飲み物」「お酒」どちらとも解釈できる場合があります。
英文 : Let’s have a drink.
和訳 : 一杯(お酒を)飲みに行こう。
上記例文の様に、「飲みに行く」という日本語と同じように、英語でも「have a drink」や「get a drink」のような表現でお酒のニュアンスを持ちます。
swallow – 広い意味で「飲み込む」
swallowは動詞として使うことで「飲み込む」という意味になります。
英単語のswallowは、飲料などを「単純に飲む = drink」という意味ではなく、食物などを「口から喉を通して食道へ送り込む = 飲み込む」という意味になります。
食べ物などを「飲み込む」
swallowは、食べ物や飲み物などを「飲み込む」動作を表す場合によく使われます。
英文 : My throat hurts when I swallow something.
和訳 : 何かを飲み込むと喉が痛くなります。
throatは「喉」を意味する名詞で、hurtは「痛む」という意味の動詞です。
上記例文からも分かるように、drinkとswallowは、日本語の「飲む」「飲み込む」と同じように使い分けられる英単語です。
日本語の嚥下(えんげ)する
swallowは、「飲み込む」という意味の英単語ですが、日本語では「飲み込む」という動作を「嚥下(えんげ)する」と表現することがあります。
日常生活ではなかなか聞く機会がない「嚥下する」という動作ですが、主に医学分野などでは「飲み込む」という動作を指し示す際に使われています。例としては、「嚥下機能」「嚥下障害」や「嚥下内視鏡検査」のような使われ方があります。
「鵜呑みにする」意味でも使われる
swallowには「人の話を鵜呑みにする = 信じる」といった意味もあります。
英文 : He swallowed her story without question.
和訳 : 彼は彼女の話を疑うことなく受け入れた(信じた)。
ここでのswallowは、日本語の「飲み込む」とは違ったニュアンスですが、「話を飲み込む = 受け入れる」というのは、何となく想像ができるのではないでしょうか。
「言葉を飲み込む」は英語も同じ
また、swallowは「感情を抑える」といった意味で使われることもあります。日本語での「言葉を飲む」や「言葉を飲み込む」といった表現と同じ意味合いになります。
英文 : She swallowed her words.
和訳 : 彼女は言葉を飲み込んだ。
「言葉を飲み込む」英語表現には以下のようなものがあります。
- swallow one’s words : 言葉を飲み込む
- hold one’s tongue : 舌を抑える
- bite one’s tongue : 舌を噛む
これらはいずれも「感情を抑えて発言を控える」といった意味の英語表現です。
「舌を噛む」は日本語だと「自ら命を絶つ」という意味合いの言葉ですが、英語の「bite one’s tongue」では「発言を控える」というニュアンスになるのは興味深い言語の違いです。
名詞としてのswallow – ツバメ(燕)
swallowを名詞として使うと、「飲み込む」のニュアンスから「一口」といった意味にもなります。また、swallowという英単語は「燕: ツバメ」という意味も持っています。
「ヤクルトスワローズ」と「つば九郎」
swallowが「飲み込む」という意味だと知ると、日本の野球球団ヤクルトスワローズが「ヤクルトを飲み込むという意味ではないか」と考える人も多いかもしれませんが、球団名の由来は「飲み込む」ではありません。
ヤクルトスワローズの名前は、国鉄東海道線を走っていた特急「つばめ」号の車両に由来しています。名詞の「つばめ」の意味でswallowが使われています。
ツバメは人の生活圏に営巣する習性があるため、人に愛される球団名として適切であると考えられたともいわれています。

マスコットキャラクターの「つば九郎」は燕(つばめ)がモチーフとなっているため、swallowの名詞に燕の意味がある事を、日本人は覚えやすいかもしれません。
日常会話で使われる単語を覚えよう
今回紹介したswallowという単語は、日本の義務教育過程では習うことが無い単語かもしれませんが、日常会話では比較的よく使われる英単語です。
子供の頃に「口の中のものを飲み込んでから話しなさい」といった注意がされるのは、日本語圏でも英語圏でも同じです。飲み込む動作を表すswallowという単語は、日本人にとっては馴染みがなく難しい単語の様に感じますが、英語圏では子供でも使う非常に一般的な単語です。
日常会話で使われる単語は覚えておくと役に立つ機会は多いです。外国人とのコミュニケーションはもちろんですが、英語の映画やドラマなど見る際に聞き取ることが出来れば、言葉のニュアンスを「より正確に」理解できることでしょう。日々の生活の中でも、自分の動作の英語表現を考えてみるようにすると学習に役立つと思いますので、是非試してみてください。
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