アルゲンタビスは語源から「銀の鳥」とも言える

アルゲンタビス銀の鳥 雑学
アルゲンタビス銀の鳥

この地球上にはかつて、Ark Survival Evolvedというゲームにも登場する「アルゲンタビス」という絶滅した鳥がいました。同ゲーム内では非常に優秀な生物に設定されていることもあり、累計2000万人以上の多くのプレイヤーが達がアルゲンタビスという生物を追い求めました。

Argentavis in Game

アルゲンタビスはArkを通じて日本でも有名になり、アルゲンの愛称で人気を博していましたが、海外のプレイヤーも同様に「Argentavis」という英語名から、愛称「Argen」や「Argy」と呼ばれ、親しまれています。

今回は、そんなアルゲンタビスとは全く関係ないところから、アルゲンタビスの名前の由来・そして人類の歩んできた歴史について繋がっていった面白い経験をまとめてみます。

最初の疑問は銀(Silver)の元素記号がAg

学校の化学の授業などで、元素記号の周期表などを覚えさせらた記憶は、多くの人があるのではないでしょうか。私もその一人ではありますが、残念ながら化学はあまり得意ではなくて、水素(H)や酸素(O)、それに亜鉛がZnというくらいしか記憶に残っていませんでした。

そんな化学音痴の私ですが、ある時「銀」について考える機会があって、その際に「銀は英語でSilver」だなぁと思いながら、何故か元素記号のAgを突然思い出したのです。金はAu、銀はAgと似た元素記号を覚えるのに苦労したからか、脳の片隅に残っていたのかもしれません。

元素記号 Ag

改めて、水素(Hydrogen)や酸素(Oxygen)は英語由来なのに、「何故英語でSilverなのに元素記号はAg」なのだろうと疑問に思い、情報の海へ真相を求める旅に出始めたのです。

銀[Ag]の語源はラテン語のArgentum

元素記号にはよくある事らしいですが、元素記号Agの語源はラテン語で銀を表す「Argentum」であることが直ぐに判明しました。正直に言うと、こういった歴史の長い学術用語などではラテン語に由来しているものが多いからか、あまりこの時点では驚きもありませんでした。

ただ、そのしばらく後に、気が付いてしまったのです。

Ark Survival Evolvedを、Early Access時代から3000時間くらいプレイしていて、海外の人の実況動画などをYoutubeで視聴することも多かった私にとって、アルゲンタビスはArgentavisだったのです。銀のラテン語「Argentum」はArgentavisと良く似ていて、絶対に何か繋がりがある、「銀の鳥」とかそういうものに違いないと思ったわけです。

余談 : ラテン語というロマンあふれる言語

今は使われなくなってしまっているものの、多くの言語体系に影響を与えた、古代ローマ人が使用していたラテン語は、言語として非常に興味深く、ロマンを感じます。

特にローマ(イタリア)に近い南部ヨーロッパでは影響が強く、イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語辺りはラテン語の色合いがとても強く残っているようです。ポルトガル・スペインが植民地とした南アメリカ大陸は、ラテンアメリカと呼ばれることもあります。

日本語も時代と共に変化はしてきていますが、ラテン語のように国が滅んで言語が使われなくなるといったことは、日本人の私としてはちょっと想像が難しい世界です。陸続きなのに違う言語が発達していく現象も、とても興味深いと思うのです。

Argentavis(アルゲンタビス)を調べると…アルゼンチン!?

突然繋がったように感じた「銀(ラテン語 : Argentum)」と「アルゲンタビス(英語 : Argentavis)」に私は興奮し、急いでGoogleでアルゲンタビスについて問い合わせました。その答えを見た私は絶望しました。

アルゲンタビス (アルゲンタヴィス) = アルゼンチンの鳥

Argentavis
Argentavis

銀の鳥ではなかったと、私の心は残念な気持ちで満たされて行きました。そしてまたまた気づいてしまうのです。

あれ、アルゼンチンって英語だと「Argentina」じゃなかったっけ?

アルゼンチンは元スペイン領…もしかして国名が

アルゼンチンの国名が英語で「Argentina」である事に気づいた私は、直ぐにアルゼンチンがスペイン領であったことを思い出します。大航海時代に新大陸を発見した後、南アメリカの東側はポルトガルが、西側はスペインが植民地化していったことを知っていたからです。

アルゼンチンという国名の由来を調べると、スペイン人が植民地化する際に川に差し掛かり、その時銀の装飾品を身につけた原住民を見て「上流で銀が取れる」地域として、銀を表すラテン語の「Argentum」に、地名に付ける修飾子「tina」をつけて、Argentinaと名付けたと知りました。

思えば遠くに来たものです。

アルゲンタビス「Argentavis」はアルゼンチンの鳥で、アルゼンチン「Argentina」は銀の国だったのです。つまりアルゲンタビスの名称は「銀の国の鳥」、語源から言って銀の鳥と表現しても良いのではないでしょうか。

繋がる歴史と現代のゲーム

最初は「銀の元素記号がSilver由来ではないのは何故か」という素朴な疑問でしたが、調べを進めると、大航海時代から植民地政策、そしてラテン語からスペイン語といった言語の歴史まで、幅広く渡り歩いた結果、ゲームに登場するアルゲンタビスにまで繋がってしまいました。

私たちの生きている今の世界は、アングロサクソン民族が世界の広い領土を植民地化した結果、非常に広い範囲で英語が利用されるようになっています。古代ローマで用いられたラテン語は、ヨーロッパの言語体系にとても強い影響をもたらしていて、今の私たちの時代にもその面影が残っています。

当時ラテン語を使用していた人々は、2000年以上後の世界でその言葉が残っていることが想像できたでしょうか。私たちの使っている日本語や英語は、後の世ではどのような形で残っていくのでしょうか。

色々な事を知れば知るほど興味が尽きません。学ぶというのは本当に楽しい事です。