身近な所にあるものには、外来語に由来している名前を持ったものが多くあります。日本で使われるカタカナの外来語の多くは「英語由来」だと考えてしまいがちですが、意外と英語以外の言語に由来する単語は多いものです。
今回は、貴金属の銀(英語でSilver)の元素記号がAgとなっていることに疑問を持った人に向けて、Agの由来を紹介しています。また、それと同じ語源を持っている国名「アルゼンチン」と古生物「アルゲンタビス」について、歴史と言語を繋ぎ合わせながら紹介していますので、是非楽しみながら読んでいただければと思います。
元素記号 47番 銀(Ag)の由来
学校の化学の授業などで、元素記号の周期表などを覚えさせらた人は多いのではないでしょうか。水素がHで酸素はOといった元素の記号を覚えることは、幼い時分は大変苦痛に感じたものです。
大人になると、水素(Hydrogen)や酸素(Oxygen)の元素記号が英語由来であることに気付きます。そんな中で、銀の元素記号(Ag)が英語のSilver由来ではないことに疑問を感じる人もいるでしょう。

銀は、化学においては元素番号47番の金属ですが、英語ではSilver(シルバー)と呼ばれ、日本ではカタカナの単語としても馴染みのある単語です。アクセサリーなどにも使われる貴金属であると共に、電気の伝導率が高いことから、近年では太陽光発電など工業用途でも利用されます。
元素記号 銀(Ag)の由来は、ラテン語のArgentum
銀の元素記号Agの語源はラテン語で銀を表す「Argentum」です。ラテン語に由来している元素記号は、他には銀と似た様な貴金属である金(Au)や、鉄(Fe)などがあります。
Argentumのカタカナ表記は「アルゲントゥム」とされていますが、ラテン語の発音は「アルジェントゥム」に近く、英語での発音はr音が強くなり「アージェンタム」のように聞こえる単語です。
長い歴史のある学術用語などにはラテン語に由来しているものが多いですし、ヨーロッパの言語にはラテン語の影響を受けているもの(例 : 惑星のプラネットなど)が多くあります。
古代ローマ人が使用していたラテン語は、今は使われなくなってしまっているものの、多くの言語体系に影響を与えた言語として、非常に興味深いものです。特にローマ(イタリア)に近い南部ヨーロッパでは影響が強く、イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語辺りはラテン語の色合いがとても強く残っているようです。ポルトガル・スペインが植民地とした南アメリカ大陸は、ラテンアメリカと呼ばれることもあります。
ラテン語のように、国が滅ぶことで言語が使われなくなるというのは、何か寂しさのようなものを感じます。日本は海に囲まれていて言語には独自の発達も多いですが、陸続きなのにも関わらず違う言語が発達してきたヨーロッパは、日本人としてはとても興味深く思います。
英語発音でのArgentum(アージェンタム)を聞くと、英語で似た響きの国名がある事を思い出す人もいるのではないでしょうか。
アルゼンチン(Argentina)も銀(Ag)と同じ由来
アルゼンチンの国名は、英語では「Argentina」です。カタカナで発音を表記すると「アージェンティーナ」が近いでしょう。
アルゼンチンがスペイン領であったことを知っている人は多いでしょう。大航海時代に新大陸が発見された後、南アメリカの東側はポルトガルが、西側はスペインが植民地化していったことが知られています。地図で見ると以下のような形で、アルゼンチンは南アメリカ大陸の南西の方に位置します。

アルゼンチンは銀(Ag)の国 – スペイン人による植民地化
アルゼンチンという国名の由来は、スペイン人による植民地化まで遡ります。
スペイン人が植民地化において、探索をしていた部隊が川に差し掛かかった際に、原住民を発見します。その原住民が銀の装飾品を身につけていたため、「銀が取れる」地域として名付けたとされています。
アルゼンチンは、元々は「リオ・デ・ラ・プラタ連合州」というスペインで銀の川を表す名前でしたが、1825年に正式国名をArgentinaに変更しています。Argentinaは、ラテン語の銀「Argentum」に、地名に付ける修飾子「tina」が付けられています。スペインの圧政を忘れる目的もあって、当時スペインに侵略していたフランス読み(アルジャンティーヌ)に近い、ラテン語由来へと変更したとされています。
古代ローマで使われていたラテン語が、大航海時代に大西洋を渡って国名の命名に使われたと考えると、人類・言語の歴史を感じずにはいられません。
古代の鳥 アルゲンタビス(Argentavis)の由来
Ark: Survival Evolved(Ark: Survival Ascended)というゲームには、「アルゲンタビス」という名前の鳥が登場します。アルゲンタビスは絶滅してはいますが、かつてこの地球上に実在した生物です。
同ゲーム内では非常に優秀な生物に設定されていることもあり、累計2000万人以上の多くのプレイヤーが達が、アルゲンタビスという生物を追い求めました。

アルゲンタビスはArkというゲームを通じて日本でも有名になり、「アルゲン」の愛称で人気を博していましたが、海外のプレイヤーも同様に「Argentavis」という英語名から、愛称「Argen」や「Argy」と呼ばれて親しまれています。
英語のArgentavisの発音は、カタカナ表記すると「アージェンテイヴィス」に近いでしょう。
アルゲンタビス(Argentavis)は、アルゼンチンの鳥
アルゲンタビス (アルゲンタヴィス)をGoogleなどで調べると、アルゼンチンの鳥とされています。

これは、アルゲンタビスの化石がアルゼンチンで発見されたために、アルゼンチンの国名に関連した名前が付けられたという経緯です。
アルゲンタビスは語源から「銀の鳥」
アルゲンタビス(Argentavis)はアルゼンチンの鳥で、アルゼンチン(Argentina)は銀(Argentum)の国・土地です。
つまり語源的には、アルゲンタビスは「銀の鳥」または「銀の国の鳥」と表現しても良いでしょう。
海外のArk Survival Evolvedの実況動画や配信を見ていて、Argentavisの名前を英語で聞いたときに、Argentinaとの関連性に気付く人はいるのでしょうか。日本人だとArgentinaとアルゼンチンの発音が大きく異なっていて、英語のArgentavisからは日本語のアルゼンチンを想像することが難しいものです。
響きの似ている単語に出会った際に、興味を持って調べてみると、意外な所に繋がったりして面白いものです。
繋がる歴史と現代のゲーム
最初は「銀の元素記号がSilver由来ではないのは何故か」という素朴な疑問でしたが、調べを進めると、大航海時代から植民地政策、そしてラテン語からスペイン語といった言語の歴史まで、幅広く渡り歩いた結果、ゲームに登場するアルゲンタビスにまで繋がってしまいました。
私たちの生きている今の世界は、アングロサクソン民族が世界の広い領土を植民地化した結果、非常に広い範囲で英語が利用されるようになっています。古代ローマで用いられたラテン語は、ヨーロッパの言語体系にとても強い影響をもたらしていて、今の私たちの時代にもラテン語の面影が残っています。
当時ラテン語を使用していた人々は、2000年以上後の世界でその言葉が残っていることが想像できたでしょうか。私たちの使っている日本語や英語は、後の世ではどのような形で残っていくのでしょうか。
色々な事を知れば知るほど興味が尽きません。学ぶというのは本当に楽しい事です。
以下は、英語由来と勘違いしそうな外来語に関連した記事です。明日使える雑学としても面白いので、是非あわせてご覧下さい。