新社会人や転職して新しい職場に入った後など、配属先の上司や教育係の人に、自分の行動や考え方を注意されることがあるでしょう。特に最近は、古臭い考え方を改めて、現代風の合理性を追求したやり方を取り入れるべきと考える風潮もあり、若い人でも積極的に会社のルールや慣習に立ち向かう事例をよく耳にします。何かを変えようとしたり、自分の考えを主張すると、必ずその否定や反対の声があがるため、「納得できない」と感じることもあるでしょう。
今回はそんな人たちに向けて、ちょっとだけ考え方のアドバイスを示してみます。うまくいかないことが少しずつ前に進むようになるかもしれないので、是非参考程度に読んでみてください。
改善点など自分の主張を発信する事は大事
会社のおかしいと思う点や、改善すべき点に気づいたとき、そのことを発信することはとても大事な事です。ほとんどの人はそういった改善については考えもせず、日々を過ごしています。そのことについて気づいたあなたは、誰よりも真剣に会社の事を考えているのです。自信を持って発信していきましょう。
発信の仕方は様々ですが、まずは身近な先輩や信頼できる上司に「相談する」という形が無難です。そういった人がいない場合は、直接上司や自分の監督責任を持っている相手に時間を割いてもらって「直談判」するしかありません。
勇気が必要な事ですが、決して感情的にならず、自分の主張を述べましょう。
「自分の考えの方が正しい」は危険信号
重要なのは「自分はどう考えているのか」を伝えることです。「間違っているので直すべきだ」といった主張をするのは非常に危険です。
会社のおかしな点に気づいてその改善を迫る状況では、「自分の考え方が正しい」「会社が間違っている」と考えて行動に出てしまいたくなるものですが、感情が先に立って周りが見えていないことに、自分自身が気づいていないことも往々にしてあるものです。
主張を伝える際には、冷静に「おかしいと気づいた点」と「自分の考える改善点」を述べましょう。
自分の主張がいつも受け入れられてくれれば何の問題もないのですが、時には上司に否定されたり注意されるということもあるでしょう。そういう時は「むかつく」とか「ダメ上司」といった負の感情が湧き起こり、売り言葉に買い言葉で感情的に反論してしまうと、信頼関係が修復不能なほどに破壊されてしまうことに繋がってしまうかもしれません。
以下は「私の部下が、会社や他の先輩に対しての文句や愚痴を言っている時」に教育として伝えていた内容でもあります。そういったむかつく上司に出会った時に、どのように対処すると良いかといったマインドセットの一例として紹介しますので、是非参考にしてみてください。
納得できない時の考え方と行動
自分が何かを主張して、上司や先輩などが否定的な立場を取ると、むかついたり、腹が立ったりして納得できないといったことがあるでしょう。反論して口論になった後、その場を引いても、ずるずるとその気持ちを引きづって、同僚や近い先輩に愚痴をこぼすといった行動に出てしまいたくもなります。
マインドセット全体としては以下のような流れとなりますが、以降順番に解説していますので、是非参考にしてみてください。
納得できないのは「自分が未熟だから」と考える
自分の考えを主張する際には、自分の考え方が正しい・会社 or 上司が間違っているのだという発想になりがちです。難しい事ではありますが、まずはその発想をいったんやめましょう。
上司や会社が反対しているということは、理由があるのです。
あなたは正しいと考えているかもしれませんが、上司や会社はあなたよりも経験が豊富で思慮深いのです。多くの場合、あなたが正しいと思っているその主張が、視野が狭く未熟なものだから、上司はそのことを指摘して反対しているのです。
よく学会の論文発表などで、発表者の問題点を指摘する際に「素人考えで恐縮ですが」という接頭語が使われています。これはとても謙虚さと皮肉さに溢れた便利なフレーズです。
自分が何かを主張する際には、「自分の考えが及んでいないかもしれない」ということを念頭に、「自分はこう考えるけどどうでしょう」といったスタンスは重要で、相手との対話を円滑に進めるために役立つでしょう。
その場で反論するのを止めて一度受け入れてみよう
謙虚に相手に話していたとしても、反論されると腹が立つものです。「だから何故分からないんだ」と声を荒げたくなることもあるでしょう。
しかし、そういった時は気持ちを落ち着かせ、ぐっとこらえて「分かりました」と一旦その場は引きましょう。もちろんですが、自分の主張をすべて伝えた上で、相手の注意や反論をすべて聞いてからのことです。
反論されて腹が立った状態で言い返すのではなく、一度持ち帰り落ち着いて考えを巡らせることが大事です。合理的に考えて、冷静に上司に相談するという行動ができたあなたであれば、落ち着いて考えれば見えてくるものがあるはずです。
多くの場合、自分の主張は自分の見える景色の中で立案されたもので、上司はさらに広い景色の中でその主張を評価する立場にあります。
現場の改善を主張しても、企業全体のコストや人員の問題などで通らないということはよくある事です。これは自分が未熟だという典型で、その主張を通したいのであれば、上司の懸念する事項への対策も含めて立案しておかなければならないのです。それらを述べず、ただ狭い視野での主張をする行為は、子供が親に駄々をこねているのと同じであることだと気づきましょう。
それでも納得できなければ疑問をまとめて再度相談しよう
なぜ上司がそのような注意をしてきたのか、持ち帰って考えても理解ができない場合は、どうしてダメだったのかという理由について、再度その上司に確認するしかありません。
冷静になって相談すれば、上司も真摯に向き合ってくれて事情を話してくれるはずです。
もうこの段階にきていれば、上司の話している内容に耳を傾けられるでしょう。自分に何が不足していたのか、この主張をする場合には何を考慮する必要があったのか、上司の発言は自分を育てる材料の宝庫です。自分を高めるチャンスなので、全力で受け止めていきましょう。
その上で、指摘をされた点を改善して再度主張をぶつけていくのか、納得して引き下がるかはあなた次第です。
説明ができない上司なら、その上司に相談する
残念ながら「ダメなものはダメ」といったように説明ができない上司や、説明の内容が意味不明・支離滅裂といった場合もあるでしょう。それでは疑問が解決しないし納得もできない、何より自分が成長できないままです。
こういった事態に遭遇してしまった場合は、さらにその上司に掛け合うしかありません。ここでも大事なのは「自分が未熟で理解できない」スタンスです。「上司が理不尽なことをいっている」という苦情では、残念ながらあなたも上司と同じレベルに成り下がってしまいます。
自分の考え、直属上司からの指摘・説明を添えて、どうしても理解・納得ができない旨を相談してみましょう。相手の時間を奪っていることについて、感謝やお詫びの気持ちを忘れないことも重要です。あなたと上司やその上司では、企業の中で時間当たりの価値が異なるのです。
真剣に相談すれば、きっとあなたの納得する答えが得られるでしょう。結果として自分の未熟さや不甲斐なさを痛感することになることもあれば、上司の指摘に潜む問題が発覚するといったこともあるでしょう。(最初と同じで、注意・指摘されたら一度飲み込みしっかり考える、を忘れずに)
自分の主張が正しかったとしても勝ち誇るのではなく、感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。今回の一件ではあなたの主張が正しかったとしても、上司がそのポジションにいるということは、その会社はあなたよりも上司の能力を認めているのです。お詫びを伝えて今後のさらなる指導をお願いするくらいまでできれば、あなたが上司に並ぶのもそう遠くないはずです。
経験を積んで上司よりも上を目指していこう
あなたの周りにある物事は、あなたを育ててくれる大切なものです。上司はあなたの責任を負う大切な役目を持っていて、あなたにとっては「目の上のたんこぶ」な時もあるかもしれません。ですが、最も身近な教材であることも確かです。上司の言動に対して不快感を覚えることもあるかもしれませんが、「学べるところを学ぶ」と割り切って、自分の糧にしていきましょう。
この世界の中では、あなたが100%全ての人格を尊敬できるような人とはほとんど出会うことができないでしょう。人には様々な面があって、良い点悪い点があるものです。悪いところは真似をせず、良い点を認めて吸収していけば、人を尊敬し、あなたも成長していけるはずです。
謙虚な心を忘れずに、一歩ずつ自分を高めていくことで、その先にある大きな成功を掴みましょう。