英会話だったり、英語話者の動画コンテンツなどを聞くことで知った英語の表現や単語などは、教科書やウェブサイトなどで勉強した場合と違って、文字からではなく音から学習していくことになります。
音で覚えた英単語や英語の表現は、時々思い込みで誤った覚え方をしてしまい、正しい表現を知った際に恥ずかしい思いをすることがあります。今回は、アニメやドラマなどで頻出する初恋(First Crush)をずっとCrashだと思っていた経験を思い出しながら、この表現についてまとめてみます。
英語で初恋はFirst Crush
英語ネイティブの人の会話や、アニメやドラマなどの字幕などで、日本でいう初恋というワードはFirst Crush(ファーストクラッシュ)と訳されています。英会話に突然この表現が登場すると、恋や愛といった表現が含まれていないので、知っていないと聞き取ることが難しいかもしれません。初めて知る表現は、音で覚えるより英字幕のように文字の方が覚えやすい場合もあるでしょう。
日本では、First(ファースト)もCrush(クラッシュ)も日本語として外来語/カタカナ語として日常的に使うので、単語としては難しくは感じないのではないでしょうか。一度聞くだけで、カタカナとしてファーストクラッシュ=初恋と記憶できる人もいるでしょう。
日本語では初恋の瞬間を、擬音語を使って「ドキッ!」と心臓の高鳴りのような表現をすることがありますが、英語でのCrushには似た様なニュアンスを感じることができます。
アニメの台詞で使われている例
例として、アニメの英語字幕で登場するシーンを紹介しておきます。以下は、「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない(英名 : Rascal Does Not Dream of Bunny Girl Senpai)」というアニメの第7話のシーンです。
上記シーンでは、主人公(梓川)が友人の女性(双葉)に、とある人(翔子)と会ったことを伝えた直後のシーンで、双葉は翔子の名前に聞き覚えがあり、上記台詞に繋がっています。
梓川 : I met Shoko Makinohara.
(牧之原翔子に会った)
双葉 : That first crush of yours? She really does exist…
(梓川の初恋の人? 実在したんだ…)
梓川の翔子への想いは日本語では初恋と表現され、その英訳はFirst Crushとなっています。
同アニメは、高校生の日常の中に起きる非現実的な現象によって揺り動かされる人の感情がとても上手く表現されていて、個人的には大人が観て楽しめる・考えさせられるアニメだと思っています。興味のある方は是非チェックしてみてください。
公式サイト : TVアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」公式サイト
Crush on someoneで「誰かに夢中」
初恋はFirst Crushと表現しますが、同じようにCrushを使って恋心を表す言い回しがあるので、合わせて紹介しておきます。
Crush on ~ : ~に夢中
誰かに恋心を抱くだけでなく、異性として気になるような状況を表現する際にも使われる言い回しで、日本語での「~の事好きなの?」といった表現としても使えます。
英文 : Is she crushed on him?
和訳 : 彼女は彼に夢中ですか? (彼女は彼の事好きになった?)
好きというと「Like」が思いつきますが、「Crush」はもう少し瞬間的で熱している状態のニュアンスを感じる表現です。そういう意味でも夢中という和訳はしっくりくる気がします。ただの好きよりも情熱的な表現なので、一目ぼれのようなシチュエーションでも使える表現です。
First CrushとFirst Loveの違い
英語で初恋をFirst Crushと表現することは分かりましたが、私たち日本人は、もっと身近な単語で初恋の事を意味する英語表現[First Love]を知っています。
First Loveというと、私の世代なんかだと宇多田ヒカルの名曲First Loveが思い浮かんでしまいます。この曲は宇多田ヒカルのヒット曲の一つで、愛する人を想いながら切なく苦しい気持ちが美しく表現されています。この曲が日本国内ではとても有名となったことも影響してか、多くの日本人は「初恋 = First Love」と思っているのではないでしょうか。
少し話は逸れますが、Youtube上に公開されている宇多田ヒカル「First Love」の上記動画は、2024年9月現在で1億回を変える再生回数を記録していて、本当に驚きました。本当に良い曲なので聞いたことがない人は是非一度視聴してみてください。往年の名曲が無料で楽しめる今の時代は本当に最高です。
First Crushは片思い、First Loveは両想い
First CrushもFirst Loveも初恋なら、どう違うのかと疑問に思う人も多いでしょう。
First Crushが初めての「ドキドキする想い」なのに対して、First Loveは初めての「愛」です。通常の表現の場合、First Crushは「片思いの初恋」で、First Loveは「初めての(両想いの)恋人」のことを指していることが多いです。
日本語では「恋は焦がれて苦しいもの」とされることが多いように、英語でのCrushには「押しつぶされて苦しい」という意味が込められているのでしょう。
CrushとCrashの違い
さてここからは、少し恥ずかしい間違いを公開していく自虐的なコンテンツですが、多くの日本人は同じ過ちを犯してしまう可能性が高いと思い、この経験談をまとめることで同じ過ちをする人を減らすことが出来ればと思っています。
私はFirst Crushの表現を知った際に、文字で知ったはずなのにもかかわらず、脳内では「ファーストクラッシュ」というカタカナ/音で覚えてしまっていたようで、勝手にFirst Crashと置き換えて覚えてしまっていました。
言い訳ではありませんが、日本人としては「クラッシュ = Crash = 衝突」といった固定的なイメージがある気がします。日常的に聞くクラッシュとしては、車の事故だったりゲームや映画のタイトルや技の名前なんかがあり、日本で生活していると比較的よく耳にするカタカナ英語です。
初恋を意味するFirst Crushのクラッシュは、CrashではなくCrushです。
単語 | 発音 | 意味 |
---|---|---|
crush | kruhsh | 押しつぶす |
crash | krash | 衝突 |
正直発音的な違いは、日本人の耳で聞き分けるのは相当難易度が高めです。この記事を書きながら改めて聴き比べましたが、あまりにも違いがなくて諦める程には難しいです。ネイティブの人も、音ではなくおそらく文脈で判断しているのだと思い込みたくなります。
意味は似ているようで異なっていて、日本人になじみのあるクラッシュ(Crash)の方は、イメージ通りの車の衝突事故などを意味する「衝突」を意味します。一方で、初恋のクラッシュ(Crush)の方は、圧力がかかって圧し潰すといったニュアンスがあります。初めての片思いで心が圧し潰されそうで苦しい、といった思いがFirst Crushにはあるようです。First Crashだと、初めての運転で事故したという悲しい出来事になってしまいます。
カタカナで書くと同じなのに、英単語としては全然別で、使い方を誤ると恥ずかしいことになってしまうので、特に新しい単語を覚えた場合や、カタカナの英語表現と出会った際は、注意深く覚えるようにしなければならないでしょう。
音の違いと意味の違い
日本語にもたくさんある同音異義語ですが、英語にも(厳密には違う音だけど)同じような音で異なる意味を持った単語が沢山あります。最近よく聞くワースという単語も、価値があるという単語(worth)と共に悪くなるといった場合にも使われる単語(worse)があり、カタカナにするととても危険な香りがします。
今回のクラッシュ(Crush/Crash)については、結構似た様なニュアンスの言葉ではあり、文脈からも意味が伝わる可能性が高いですが、ワース(worth/worse)は間違えるとほぼ逆の意味になってしまうこともあり、危険度は高そうに思います。
初恋の事を英語でFirst Crushと表現することを知っていると、なんだか少し賢くなったような気がしてしまいますが、誤ってFirst Crashと覚えてしまうと逆に恥をかくことになってしまいます。私の場合、自分で覚えて自分で誤りに気付くことが出来て、運よく恥はかかずに済みましたが、皆さんも是非気を付けてください。
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