スペアという言葉は、予備といった意味合いで日本でも使われていて馴染みがあります。しかし、スペアの基となっている英単語「spare」は動詞として使われると日本語訳が難しいことが多いため、今回は使われるシーンと共に、意味やニュアンスなどを紹介します。
spare meが使われるシーン
どういった状況で使われるのか、実際使用されているシーンを知ると、前後の状況や発話者の心情などと一緒に英単語や英語表現を覚えることができ、習得に役立ちます。
以下に、「spare me : スペア ミー」という表現が含まれたYouTubeのショート動画を紹介します。動画はGame of Thronesという人気ドラマの一部を紹介した内容となっています。
引用 : Sansa was saved by the Hound – YouTube
spare meが含まれる会話 – シーン抜粋
上で紹介したシーンの背景は以下のようになっています。
- 北部の長 エダード・スターク公の娘サンサ
- サンサが危険な時にハウンドが助けた
- サンサが後日ハウンドにお礼をいう (ここの会話シーンの切り抜き)
spare meが使われている部分の会話について、その前後も少し含めて以下に抜粋します。
Sansa : You were so brave.
Hound : Brave? Dog doesn’t need courage to chase off rats.
Sansa : Does it give you joy to scare people?
Hound : It gives me joy to kill people.
Hound : Spare me.
Hound : You can’t tell me Load Eddard Stark of Winterfell never killed a man.
Sansa : It was his duty. He never liked it.
Hound : Is that what he told you?
Hound : He lied. Killing is the sweetest thing there is.
spare meを含んだ会話の和訳解説
上記英語での会話シーンの和訳すると以下のようになります。
(Google 翻訳したものを、登場人物に合わせて言い回しなどを少し手直ししてあります)
サンサ:あなたは本当に勇敢でした。
ハウンド:勇敢だって?犬がネズミを追い払うのに勇気なんて必要ない。
サンサ:人を怖がらせるのを楽しんでるの?
ハウンド:人を殺すのを楽しんでるんだよ。
ハウンド:勘弁してくれ
ハウンド:ウィンターフェルのエダード・スターク公が人を殺したことがないなんて言うなよな?
サンサ:それは父の義務であって、決して楽しんだりなんてしていません。
ハウンド:彼がそう言ってたか?
ハウンド:彼は嘘つきだな。
ハウンド : 人を殺すことは、この世で最も甘美なことなんだよ。
上記の通り、「spare me : スペア ミー」は「勘弁してくれ」と訳されています。(Google 翻訳のまま)
シーンの補足 – このシーンで表現されている事
英語表現spare meとは関係ありませんが、このシーンについて少し補足しておきます。シーン全体が印象深くなれば、spare meの表現を思い出したり、応用して会話で使うことに役立つかもしれません。
このシーンでは以下のような事が描かれています。
人を恐れさせ近寄り難いハウンドが、自分の窮地に助けてくれたことで、「人を見た目で判断することは良くない」と、勇気を出してお礼を言いに行くサンサ。(少女の成長)
しかしハウンドから語られたのは、人の「内なる残忍さ」であり、それを受け入れることはサンサには難しく、感情的になってしまいます。(少女の未熟さ : 上記抜粋した部分)
続けてハウンドは、自身の残忍さを認識した上で、王に嫁いで女王になるサンサに、いつか自分の残忍さが役に立つことがあると伝えています。(教育)
強面で屈強な戦士が、田舎出身の無垢な少女に、人の恐ろしさや政治の難しさ(王の異常性)について教えてくれています。また、異常な王との間に立つ(つまり守る)とも言ってくれています。
サンサの世間知らずな危うさと共に、ハウンドの内に秘められた優しい人柄がよく表現されている素敵なシーンです。
紹介した動画に、上手に趣旨(本質)をまとめられているコメントがありましたので、以下に紹介します。(Joffrey : ジョフリー – サンサの結婚相手の王)
(コメント抜粋)
He absolutely wasn’t a nice person, but he let her know that he was aware of the kind of monster Joffrey was, and that he would protect her from him.
(Google 翻訳)
彼は決していい人ではなかったが、ジョフリーがどんな怪物であるかを知っていること、そしてジョフリーから彼女を守ることを彼女に知らせた。
動詞だと難しい英単語 spare : スペア
日本語でも「スペア」という外来語が使われます。英単語spareの名詞・形容詞は、日本語のスペアと同じで、「予備」や「予備の」という意味で使われます。
しかし、spareは「動詞」としても使われる英単語です。
動詞としてのspareの意味
「spare : スペア」の動詞としての意味には、以下のようなものがあります。イメージしやすいように、類似した英単語を添えてあります。
- 割く (divide)
- 余す (save)
- 助ける (help)
- 憐れむ (pity)
- 厭う, 嫌う (hate)
全体的に、「余らせる」といったニュアンスの意味ですが、余らせる「目的」や「対象」によって意味合いが変化しているといえるでしょう。どういったニュアンスで使われているかは文脈で判断する必要があります。
動詞としてのspareの例文
動詞としてspareが使われる例文を紹介します。
例文 : I’m sure you can spare me a moment.
和訳 : 少しお時間をいただけますでしょうか。
この例文では「時間を割く」という意味合いでspareが使われています。このニュアンスは、「予備(余分)の」時間を貰うという感覚もあって、日本人でも想像しやすいのではないでしょうか。
例文 : there was no way the men would spare her.
和訳 : 男たちが彼女を許すはずはなかった。
この例文でのspareは「許す」という意味合いになっています。spareという単語には「嫌う : hate」という意味もあるにも関わらず、文脈によってその逆のような意味合いに変化しています。
spareが動詞として使われている場合、単語の意味に捉われず、単語の持つイメージを想像しないと、自然な日本語訳を作るのが難しいかもしれません。
身近な言葉にある学び
日常的に使っている言葉の中にも、意外と知らない意味や歴史があるものです。言葉のニュアンスが理解できるようになると、その言語圏の人の文化や歴史をより深く理解できるようになると思うのです。
身近なちょっとした物事でも、少しの疑問を持ってみると、色々な物事の見え方にも変化があると思うので、是非試してみてください。