英語学習をしていると、「犯人」を意味する単語として culprit や criminal を見かけることがあります。日本語だとどちらも同じように訳されるため、つい置き換えて使ってしまいがちです。
しかし、実際の英語ではこの2つの単語はニュアンスや使い方が異なります。ニュース記事や海外ドラマのセリフでも、状況によってどちらを使うかが変わってきます。
この記事では、culprit と criminal の違いを基本から丁寧に解説し、日常会話から法律文書まで、自然に使い分けられるようになるためのヒントを紹介します。
基本的な意味の違い
まず最初に、culpritとcriminalの基本的な意味の違いから確認してみましょう。
culprit
- 直訳すると「事件や問題の原因となった人(や物)」
- 犯罪者だけでなく、事故やトラブルの原因者、さらには物や状況そのものも指すことができます。
- 法的・日常的な場面どちらでも使える柔軟な単語です。
The culprit was a faulty wire.
犯人(原因)は壊れた配線だった。
このように、culprit は人以外を主語にできる点が特徴です。
criminal
- 「法律を破った人物」を意味します。
- ほぼ確実に「犯罪」という文脈で使われ、軽い冗談や日常的なミスに対しては不向き。
- 犯罪行為や犯罪歴など、関連語でも使われます。
He is a convicted criminal.
彼は有罪判決を受けた犯罪者だ。
用法とニュアンスの違い
culpritとcriminalについて、それぞれの特徴をわかりやすくまとめてみると、以下のようになります。
Culprit の特徴
- 広い適用範囲
- 事件の犯人だけでなく、トラブルや問題の原因全般を指せる。
- 犯罪に限らず、機械の故障や人為的なミスでもOK。
- 軽い場面でも使える
- 友達同士の冗談やオフィスでの会話でも自然。
- 例:「この書類をなくしたのは誰?」 → “Who’s the culprit here?”
- 人以外にも使える
- The main culprit was the outdated software.
- 主な原因は古いソフトウェアだった。
Criminal の特徴
- 法律的意味が中心
- 「犯罪者」という意味が強く、ニュースや法廷、警察の文脈で頻出。
- 比喩的表現はやや重い
- 冗談として使うときは、わざと大げさにするニュアンスになる。
- “You ate the last cookie? You criminal!” (最後のクッキーを食べただと?悪党め!)
- 派生語の利用が多い
- criminal act(犯罪行為)、criminal record(前科)、criminal law(刑法)など、法律関連の固定表現が多い。
例文比較
日本語 | 英語 | 解説 |
---|---|---|
犯行の犯人はまだ捕まっていない | The culprit has not been caught yet. | 犯罪かどうかに関わらず、事件の原因者を指す |
彼は有罪判決を受けた犯罪者だ | He is a convicted criminal. | 法的な意味での犯罪者 |
このミスの原因は誰? | Who’s the culprit for this mistake? | 軽い日常会話での使い方 |
詐欺は重大な犯罪だ | Fraud is a serious criminal offense. | 法律的な表現 |
誤用しやすいポイント
日本語では、法的な犯罪でない場合でも、比較的気軽に「犯人」という言葉が使われます。
そのため、英訳する際にはニュアンスを間違えないように注意しなければなりません。
Culprit を使いすぎるケース
日本語の「犯人」を見たときに、すべてculpritで訳すと不自然な場合があります。例えば「指名手配中の犯人」は wanted criminal が自然です。culprit では法的な厳しさが足りません。
Criminal を日常で使いすぎるケース
軽いミスや冗談にcriminalを使うと、響きが重すぎることがあります。特にビジネス英語では、冗談でもcriminalを使うと相手が本気で受け取る危険があるため注意が必要です。
まとめ
- culprit:事件や問題の原因者。軽い場面から重大事件まで幅広く使える。
- criminal:法律を破った人物。法的・厳しい意味が強い。
- ニュースではcrime → criminal、日常会話ではproblem → culprit のように、文脈に合わせて選ぶと自然。
英語の「犯人」表現を使い分けられると、ニュースやドラマのセリフもより鮮明に理解でき、会話でも自然に対応できるようになります。
最後にワンポイント:
“The culprit is…” と言われたら、必ずしもその人が「犯罪者」とは限りません。
それが壊れたパソコンかもしれないし、昨日の夜更かしかもしれません。
文脈がすべてです。