【分野別】使われるプログラミング言語まとめ

使われるプログラミング言語 IT就活

IT企業への就職に向けて勉強をしようと考えている人に向けて、どんなプログラミング言語を学んだら、どういったIT企業・IT分野で役に立つのかをまとめています。また、それぞれのプログラミング言語や分野の特徴も紹介していますので、合わせて参考にしてみてください。

プログラミング言語の選び方

プログラミング言語(プログラム言語)に多くの種類がある事が分かっても、実際何を選んで勉強を始めればよいのか悩んでしまうこともあるでしょう。また、有識者や経験者に相談しても適切な回答を得られなかったり、就職した後で勉強した言語の知識を活かせないという事例もよく耳にします。

ここではプログラミング言語の選び方について紹介していますので、是非参考にしてみてください。

選択基準は「対象となるソフトウェア」と「動作環境」

まず最初に、ソフトウェア制作を実際に行うIT企業ではどのようにしてプログラミング言語を選んでいるのかを紹介します。

プログラミング言語には様々な種類のものがありますが、「コンピュータに命令する」という能力では共通しています。

IT企業で制作するソフトウェアが決まると、チーム編成やスケジュールなど必要な事を決めていった後で、規模にもよりますが、製作チームで「どの言語」で「どういう体制」で製作していくのかといったことを決めていきます。決める方法は話し合いだったり、チームの編成から自然と決まる場合や、リーダーの一声で決まるなど、状況によって異なります。

判断基準は、「対象となるソフトウェア」「動作環境」が最優先で、次に「作れる人」「作った経験」といった点になります。

いくら経験値の高いプログラミング言語があったとしても、対象ソフトウェアの動作環境で動くソフトウェアを制作できない、または適さないという場合は、残念ながら選択肢から除外せざるを得ません。

特殊な環境で動作する機器(新製品の電子機器や、新発売されるゲーム機等)の場合は、完全に新しい環境でまったく未経験のプログラミング言語での作業を余儀なくされることになります。

就職活動で勉強する場合は「就職先の仕事」で選ぶ

就職などを目標にしてプログラミング言語の勉強を始めたいと考えている場合は、「自分が就職したいと思っている会社」が作っているソフトウェアの種類や、自分が「どのようなソフトウェアを作る仕事をしたい」と思っているかで選びましょう。

IT企業で働いている人に「どのプログラミング言語を勉強したらいいか」と聞いても、適切な回答を得ることが難しいのは、プログラミング言語の選択においては「あなたは何を作りたいのか」が最も重要な出発点だからです。

「C言語」はオススメの言語として適切なのか

一般的なITエンジニアに対して、漠然と「どのプログラミング言語を勉強するべきか」と聞いた場合は、とりあえず「C言語」と回答されるかもしれません。

具体的な目標を添えて「おすすめのプログラミング言語」について質問すれば、その人にあった適切なアドバイスをしてもらえるでしょう。

近年C言語でソフトウェアを制作する機会はあまり多くなく、生産性も高いとは言えないため、せっかく勉強しても、習得した技術を直接活かせる機会は少ないでしょう。

学習が大変なC言語の最大のメリットは「将来性」

C言語は、学習するのが大変な言語ではありますが、現在広く利用されているプログラミング言語の「設計思想の原点」のような優れた言語です。C言語を理解できれば他の言語を習得するのは比較的容易ですが、その逆はそうとは限りません。

将来的にどの分野に進むことになっていても、C言語の学習で習得した知識は活かしやすいため、先輩のITエンジニアはオススメすることが多いです。逆に、それ以外の特化したプログラミング言語を勉強した場合、将来その分野でしか活躍できなくなる(道が狭まる)ため、オススメしにくいともいえます。

分野別「使われるプログラミング言語」

勉強を始めるプログラミング言語を選択したいという方のために、分野ごとにどのような言語が選択されているかを紹介します。実際には企業やプロジェクトのリーダーの判断など、様々な要因で異なる言語が選択されることもありますが、近い言語を習得しておけば、きっとその知識は役に立ちます。

プログラミング言語イメージ

「Web分野」は流れの速い世界

現在の情報化社会で外すことができない分野の一つが「Web」です。一言でWebといっても、Amazonのような世界規模の巨大インフラから、小さな企業のホームページまで様々です。意外と知られていないかもしれませんが、スマートフォンのアプリなどでも、通信機能などでWebの技術を使って制作されているものも少なくありません。

Webの仕事は非常に多いですが、技術者も多く、技術者のスキルレベルの高低の幅が凄まじい業界・分野です。

デザインとも密接なソフトウェアが多く、SNSやYouTubeなど流行に非常に近いソフトウェアを扱う分野である反面、技術やデザインの流行の流れが速く、習得した技術が数年で使われなくなるといったことも起きる業界でもあります。IT業界の中でもデザイン性が重視されることもあるためか、業界内でも特に女性が多く活躍している分野でもあります。

Webの分野で使われる「インタプリタ言語」と「コンパイル言語」

Webの分野は、IT業界の中でも「インタプリタ言語」が使われる珍しい分野です。

インタプリタとは、実行時にプログラムソースコードを1行ずつ機械語に翻訳しながら実行していく形式です。修正・管理が容易な反面、想定外の改変が起こるリスクを伴います。

プログラミング言語実行形式
PHPインタプリタ
Rubyインタプリタ
Javaコンパイル
C#コンパイル

単純なWebサイトの構築などではPHPRubyのような管理の容易なインタプリタ言語が選ばれることも多いですが、重要な情報を扱う大規模なシステムなどでは、プログラムが改変できない状態になるコンパイル言語が選択されることが多いです。

「PHP」や「Ruby」は開発効率が高い

PHPは既存システムの拡張などの仕事も多く企業では必要とされる場面も多く、Rubyは開発効率を重視する企業などで積極的に採用が進められているようで、どちらもWeb業界を支える重要な技術です。

PHPやRubyのようなインタプリタ言語の開発環境は非常にコンパクトでお手軽なため、開発効率は非常に高くなります。コンパイル言語よりも短い期間で制作できたり、メンテナンスが簡単で間違いが起こりにくいというメリットは、実作業だけでなく教育などの面においても大きな恩恵があります。

その反面、ファイルを変更されてサイトの内容を書き換えられてしまうなどの危険性もあるため、セキュリティーについては十分な配慮が必要になります。納品したソフトウェアから、IT企業の技術を盗まれる危険性もあるため、機密性の高いシステムの製作には不向きという特徴もあります。

「Java」や「C#」は将来性が高い

JavaやC#といったコンパイル言語は、Web以外の分野でも使われる言語です。JavaならAndroid、C#ならWindowsのソフトウェアといった別分野の開発を容易に行えます。

コンパイル言語であるJavaやC#のエンジニアは、Web分野の仕事以外も割り振ることができるため、IT企業側にとっても採用しやすく、またエンジニア本人にとっても転職や異動などでキャリアアップしやすいという強力なメリットがあります。

複数環境への対応だけでいうと、Javaはプログラミング言語自体が「環境に依らない言語」として設計されていることもあり、その点においては最強と評価しても良い程です。ただし、環境を吸収する中間レイヤー(VM)のせいで成果物の速度が若干遅いという欠点があり、選択肢から外されてしまうこともあります。

「スマホアプリ・ゲーム」は個人事業も視野

スマートフォン上で動作するアプリやゲームなども当然プログラミング言語で作られています。

スマートフォン用のアプリ開発は企業でも行われますが、スマートフォンアプリの販売プラットフォームがベンダーに提供されていることもあって、個人でアプリを開発して販売することも容易です。就職活動のためだけでなく、個人事業を起業するために勉強を始めたいと考えている人もいるでしょう。

スマートフォン分野はiOSかAndroidの二択状態

今のスマートフォンは、概ねiPhoneAndroidの二強状態です。iPhoneはiPadなどもあって紛らわしいので、IT業界ではiOSと呼称されることの方が多いかもしれません。例外はありますが、近年は「スマートフォン開発」というと、iPadのようなタブレットも込みで扱われるようになっています。

プログラミング言語OS
SwiftiOS
JavaAndroid

上記プログラミング言語は、いわゆる「ネイティブ」と呼ばれるOS配布元が推奨している言語です。

両方のOSに対応したプログラミング言語や開発環境なども最近注目されていますが、個人でアプリ開発を進める人以外にはお勧めしません。

様々な事が両OSに対応した中間層の開発レイヤーに依存することになり、OSの最新機能を使いたくても、その開発環境の対応を待たなければならないということも発生します。企業においては、中間層のレイヤーで起きた問題は、選択した企業の責任となるため、自社製品以外では使いづらいという致命的な欠点があります。

「Swift」はApple社次第

iOSの開発は独特で、現在はSwiftという比較的新しいプログラミング言語が利用されます。Swiftはスマートフォンアプリだけでなく、Mac用アプリケーションやApple Watchなどの開発にも利用されるプログラミング言語です。

SwiftはAppleが2014年に電撃発表したプログラミング言語で、IT企業は従来使われていたプログラミング言語のObjective-Cからの移行や技術者の育成に追われることになりました。

Appleは大企業で日本での製品人気は高いですが、IT業界としてはこれまで何度も技術の入れ替えをしてエンジニアのノウハウを泥に変えてきた歴史があります。

Swiftを勉強し、現場で何年も活躍して実績を作った後に、急に技術の総入れ替えが起こってSwiftの開発ができなくなるということが、AppleやiOSの世界では起こりうるので、そういった「裏切られる覚悟」もしておく必要があります。

「Java」は将来性が高い – Android

Androidの開発はJavaで行うのが主流です。

Javaというプログラミング言語は、AndroidだけでなくWebを含めて広い分野で利用されています。エンジニアとしても、Javaを使えるようになっていれば、スマートフォン開発の仕事だけでなく、他の分野の仕事も請け負えるようになります。

これからプログラミング言語の勉強を始めようと考えている人は、まずはJavaでのスマートフォンアプリから勉強を始めて、その後Web分野などへ勉強の範囲を広げていくといった勉強の進め方も良いでしょう。

日本だけ異常な「スマートフォン市場」

スマートフォンの環境は日本市場はかなり特殊です。

日本向けのアプリやゲーム開発に携わる場合は、iOS,Androidどちらを勉強していてもよいでしょう。

逆に世界的にはiOSは高額で敬遠されていることもあり、シェアは低下傾向で、今は30%を切っている状況です。海外を視野に入れてスマートフォンソフトウェアの制作を志すのであれば、日本と違ってAndroidが優勢なので、勉強するプログラミング言語の選択は慎重に行いましょう。

出典 : https://gs.statcounter.com/os-market-share/mobile/worldwide#monthly-202308-202308-bar

「業務系ソフトウェア」は大規模な開発

販売管理システムや企業の基幹システムなど、大規模なソフトウェアを扱う企業への就職を考えているのなら、Javaなどの汎用性の高い言語を学ぶのが無駄がないですが、Windowsに絞るならC#なども選択肢に入ってきます。

プログラミング言語プラットフォーム
JavaLinux, Web等
C#Windows

「C#」というプログラミング言語のメリット・デメリット

C#はWindowsアプリケーションの開発でよく利用されるプログラミング言語です。非常に生産性が高く、開発環境も優れており、選ばない理由がない程に強力なメリットの多いプログラミング言語です。個人で所有しているWindowsのパソコン上で動作するソフトウェアを制作できるため、勉強のやりがいもあるでしょう。

C#はWindowsアプリケーションだけではなくWeb制作も可能なプログラミング言語です。しかし、Windows Serverを利用してのWeb開発は初期費用が高いこともあって業界では選択肢から外れることも多く、就職する企業にもよりますが、C#を使ってのWeb開発は、Windowsアプリケーションの開発程には仕事が多くないことには留意しておきましょう。

C#のメリットC#のデメリット
生産性が高い顧客負担が高額
開発環境が高機能
Web制作も可能
教育コストが低い
Microsoftの安心感
C#のメリット・デメリット

C#は、メリットはIT企業にあり、デメリットは利用者(顧客)にあるプログラミング言語といえます。楽しく勉強できる言語ですが、仕事やお金にするには営業的な努力が必要な言語です。

それでもWindowsはビジネスシーンで絶大なシェアを持っているOSであり、Windows用アプリケーション開発が多いのも事実です。改めて高額なサーバーを購入する必要がないWeb以外の仕事は、依然としてC#が強い環境なので、オススメのプログラミング言語のひとつではあります。

就職後にしか学べない「社外秘の技術」

ただ、この規模のプログラムということになると、新卒のプログラマーを簡単に制作・実装へ参加させるようなことはなく、恐らく一定期間の教育実習などを終えてから、徐々に実作業が始まってくることが多いです。

また、大規模システム開発では、効率よく安全に進めるために、パッケージライブラリといった既存の製品群を持ち込むことも多く、自社のパッケージライブラリがあれば積極的に活用していきます。

そういった環境においては、プログラミング言語の知識よりも、パッケージやライブラリの知識の方が重要になり、それらの多くは社外秘の技術なので就職してからしか学ぶことができません。実績の多いIT企業ほど、実績を再利用可能な形式とするノウハウは多く、複雑なソフトウェアを容易に構築できる様々な技術やライブラリを蓄えているものです。

ライブラリやフレームワークの活用を学ぼう

業務系のソフトウェア開発を行っている企業への就職を考えている人は、プログラミング言語の勉強をする過程で「言語の文法や仕組み」と共に、ライブラリフレームワークの活用に挑戦してみましょう。

また、複数人でのチーム開発の経験は、就職活動でも強力なアピールポイントになります。

「組み込み系」はOSのない世界

今は身近な電子機器にもソフトウェア技術が必要な時代になっています。冷蔵庫や電子レンジのような家電製品から、体重計や腕時計のような小さな機器にもソフトウェアが搭載されています。近年では機器がインターネットと繋がって多くの機能を提供することも多く、総称してIoT(Internet of Things)と呼ばれます。こういった機器のソフトウェアを制作する技術者を「組み込み系エンジニア」と呼び、現在のIT業界において、「最もコンピュータに近く、人間から遠い低級言語を操る難しい仕事」と言えるでしょう。

組み込み系の世界では、一部Android搭載機などもありますが、WindowsやMacといったいわゆるOSがないことも多いです。通常プログラマーは、OSが提供してくれる機能を呼び出すことで様々なソフトウェアを生み出すのですが、それらが一切ないため、直接ハードウェアを制御しなくてはなりません。中には電気信号的な0と1の羅列を処理するといった細かなプログラムも含まれてきます。

「C/C++」でハードウェアを直接制御する

ハードウェアを直接制御する細かなプログラムを制作する現場では、C/C++といったプログラミング言語が活躍します。C++言語などは機器と近い部分での処理を実現することができることもあって、デバイスドライバなどの開発でも利用されることも多いです。

C言語やC++言語に不可能はないと言われますが、手続きが多い言語でプログラム制作には時間がかかり、Webやスマートフォンなどの開発には不向きで、ほとんど選ばれることはありません。

組み込み系においてOSがないことをデメリットのように記載しましたが、逆に言うと「出来ることが少ない」とも言え、それは技術者にとっては覚えることが少なくて済むメリットともいえます。

限られた小さな世界でできるだけ大きなことを実現する技術力が要求される反面、Webやスマートフォンのような分厚いドキュメントやマニュアルを読み解く必要性が少ないといった側面もあります。

「AI」を活用した最新技術

Pythonというプログラミング言語を耳にしたことがある人も多いかもしれません。IT業界ではこの5年10年ほどで急速に注目され、利用されることも徐々に増えてきている言語です。PythonはAIの研究や開発で利用されてきた経緯があり、AI関連のライブラリやドキュメントなどはPythonで提供されているものが多く、今後AIを取り入れようとする企業はPython技術者の採用や教育に追われているのがここ数年の動きです。

最新技術が好きな人や、AIの未来に夢を抱いているような人は、是非Pythonを選択してみてください。これからのIT業界ではAIは避けて通ることはできない分野で、Pythonの技術はきっと役に立つでしょう。

「Python」は今後に期待される言語

Pythonに注目が集まったのはここ数年で、AI以外の分野への活用が模索され始めたのもごく最近の話であることには注意が必要です。

既存の製品は他の言語で製作されたプログラムが多く、Pythonに求められるのはAIやその周辺技術というのが現状です。

今後広がることが予想される分野であっても、現状Pythonだけしかできない技術者は、よほどの大企業でない限り採用に踏み切るのが難しいかもしれません。IT企業の多くはPythonの資産を多くは持っていないため、コストを抑えるためにPythonが選択肢にすら入らないことが多いことを理解しておきましょう。

可能であれば、メインのプログラミング言語 + PythonといったITの現場に合わせた勉強を検討してみましょう。Python一本に絞るくらい熱意があるのであれば、自分で起業して「最先端技術を他社に提供する」というのも一つの選択肢かもしれません。

しっかり考えてみよう

何を作りたいのか、どの会社に就職したいのか、悩みは色々あるかもしれませんが、一つ一つ具体的にしっかり考えてみましょう。好きなプログラミング言語を学んで、その知識が活かせる会社に就職するのも選択肢の一つでしょう。

手元にあるパソコンやAndroid端末で動作する簡単なプログラムを作ってみるところから始めてみると、モチベーションにもつながると思いますので、是非チャレンジしてみてください。Windowsで使うC#や、Androidの開発で使うJavaのようなプログラミング言語は、IT業界でも活かしやすいので、これから勉強する人にはオススメです。