情報化社会といわれる現代において、便利な情報サービスが普及していますが、同時に詐欺などの犯罪も横行するようになっています。
私たちは自分の身を守るために、不審な情報から身を守る術を身につけなければなりません。今回は、2025年の参院選において世論調査の電話を受けた自身の経験と共に、「情報リテラシーの高まり」と「個人情報の扱いの難しさ」について考えてみます。
選挙期間中の世論調査
2025年の7月の日本では、第27回参議院議員通常選挙が行われました。投票率は前回よりも6ポイント近く上昇して58%で、地域によっては60%を超える場所もあったようです。
そんな参院選の選挙戦の最中、突然私の携帯電話に一本の電話が掛かってきました。
携帯電話に掛かってくる「世論調査」
携帯電話に掛かってきた電話は、知らない電話番号からでした。
怪しい詐欺電話やセールスなのか、それとも何か重要な通知なのか、応答するかどうかを数秒悩みましたが、とりあえず無言で応答することに決め、携帯電話を操作して耳にあてました。
すると、電話の向こうからは自動音声が流れてきます。
「この電話は○○社と○○社の合同による世論調査です。電話の数字を押して回答してください。質問の途中でも回答できます。」
正確な文言は忘れてしまいましたが、上記のような案内音声が流れてきました。
どうやら電話は、投開票日が近づいた参院選に関してテレビ局や新聞社が行っている世論調査で、私は対象者に選ばれたようです。
世論調査電話の「恐怖」 – 個人情報を求める自動音声
第27回の参院選は大きな話題にもなっており、自分も必ず投票するつもりでいました。突然の世論調査にドキドキしながらも回答しようと思い、携帯電話をスピーカーモードに切り替え、入力するためのキーパッドを表示させ、続きの音声を聴いていました。
世論調査の電話は、自動音声で以下の様に質問をし始めました。
「それでは○○のために、最初にお住まいの地域の郵便番号をご入力ください。」
○○の目的の部分は忘れてしまいましたが、おそらく「統計を地域ごとに算出するため」とかそういった内容だったと思います。
この質問を聞いた瞬間、私は恐怖で体が硬直しました。そして頭の中で様々な「危険」のケースについて考えを巡らせ、以下の考えに至りました。
知らない電話番号からの「世論調査」を語った悪意のある電話だったらどうしよう…
次の瞬間、私はそっと通話終了ボタンを操作し、携帯電話を机に置きました。
「個人情報」を要求する詐欺電話
知らない電話番号からの電話には注意が必要です。
役所や警察等に身分を偽ってターゲットに電話をかけて個人情報を聞き出そうとするのは、詐欺集団などの常套手段です。
近年では国民の情報リテラシーの高まりによって、未然に被害を防ぐことに成功するケースもあるようです。防犯の啓蒙も兼ねて、関連したニュース(2025年7月17日)をひとつ紹介します。
引用動画 : “ニセ警察官”突然怒り出す “詐欺電話”したら相手が… (ANNnewsCH)
上記被害者の女性は電話の相手が詐欺ではないかと疑い、用事があるから30分後にかけ直してくれと伝えて一度電話を切り、その間に警察署に行って事情を話し、被害を免れています。
世論調査の方式と「かたり調査」
世論調査は、1940年に毎日新聞社が「輿論(よろん)調査」として始めたのが最初といわれています。
出典 : 世論調査 | 毎日新聞社
世論調査は長く「固定電話」を対象として行われていましたが、携帯電話の普及に伴って改善が行われ、現代では固定電話と共に携帯電話に対しても行われるようになっています。(RDD方式)
RDD方式とは、Random Digit Dialingの頭文字で、無作為(ランダム)に電話番号を生成して対象を選定する方式です。
また、内閣府が行う世論調査では、統計的に選ばれた対象者の家に調査員が訪問する方法や、対象者に調査票を送付して返送してもらうといった方法がとられています。
出典 : 世論調査について | 世論調査 | 内閣府
「かたり調査」への注意喚起
政府は「かたり調査」への注意を促しています。
大事な事なので、上記内閣府のページに掲載されている内容を、引用して掲載します。
最近、内閣府の世論調査において、「かたり調査」が発生しているとの報告が寄せられるようになりました。
「かたり調査」とは、行政機関が行う調査であるかのような、紛らわしい表示や説明をして、個人情報等を詐取する行為のことです。
「かたり調査」は、調査の実施を妨げるだけでなく、詐欺やその他の犯罪にも繋がりかねないので、ご注意ください。
また、「電話」や「電子メール」での世論調査についても言及されています。
内閣府の世論調査では、皆さまに対し、電話や電子メール等で世論調査の協力依頼をすることは絶対にありません。
電話や電子メールでの「内閣府を騙った世論調査」はすべて詐欺なので注意しましょう。また、調査員や調査票が届いたときも、詐欺ではないかと疑ってかかることは、自分の身を守ることに役立ちます。
区別がつかない「世論調査」と「詐欺電話」
今回の私への「世論調査」の電話が、本当の世論調査だったのか「詐欺電話」だったのかは定かではありません。自動音声を利用していたことから、詐欺電話の可能性は低いとも考えられます。
情報リテラシーの高まった現代においては、個人情報の扱いに気を付けている人や、防犯意識が高い人は特に、現在の世論調査の形態では回答するのを「躊躇する」こともあるでしょう。
世論調査については、固定電話だから高齢者率が高く「数字が信用できない」といった声を聞くことがありますが、それ以外にも様々な問題がありそうです。(実際、携帯電話の回答率は低い傾向)
変化する社会に対して柔軟に対応していくべきとは思いますが、コストや公平性の観点などから変更が難しい事も多いでしょう。令和時代は、テレビとネットを含めて、情報分野に関する大きな変革が必要な時期に差し掛かっているようにも感じます。
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