「Pronouns」と「Pronounce」の違い|意味・発音・語源・カタカナ英語の注意点まで解説

pronouns-vs-pronounce 言語

英語学習をしていると、「つづりは似ているのに意味がまったく違う単語」に出会うことがあります。
その中でも pronouns(代名詞)と pronounce(発音する/宣言する)は、見た目も音も似ていて混同しやすいペアです。さらに、カタカナ表記にするとどちらも「プロナウンス」に近くなり、頭の中でごちゃ混ぜになりやすい存在です。

この記事では、この2つの単語の意味・使い方・語源の違いを整理し、あわせて pronunciation(発音)や announce(知らせる)との関連性、そしてカタカナ語の落とし穴まで解説します。

「Pronouns」と「Pronounce」— 意味と使い方の基本

綴りも発音も似ている pronouns と pronounce について、それぞれの意味や使われ方を確認してみましょう。

英単語意味
pronounspronoun (意味 : 代名詞) の複数形
pronounce発音する
pronounsとpronounceの意味の違い

発音の違いや覚え方については後述します。

Pronouns の意味と使い方(代名詞)

pronounspronoun(代名詞)の複数形です。

  • 代名詞とは、名詞の代わりに使う単語(he, she, they, it など)。
  • 最近では「自己紹介で使う代名詞」という意味でも注目され、SNSプロフィールに「Pronouns: she/her」のように書かれることも増えています。

例文

  • My pronouns are they/them.
    (私の代名詞はthey/themです。)
  • He forgot to include the pronouns in his introduction.
    (彼は自己紹介に代名詞を入れ忘れた。)

Pronounce の意味と使い方(発音する/宣言する)

pronounce は動詞で、「発音する」または「宣言する」という意味を持ちます。

  • 発音する:pronounce a word correctly(単語を正しく発音する)
  • 宣言する/告げる:pronounce someone guilty(有罪を宣告する)

例文

  • Can you pronounce my name?
    (私の名前を発音できますか?)
  • The judge pronounced the sentence.
    (裁判官が判決を言い渡した。)

カタカナ語の落とし穴 — プロナウンスはどっち?

日本語話者にとっての混乱ポイントは、これらがカタカナにすると似てしまうことです。

それぞれの単語の発音は、カタカナにすると以下の様に違いがあります。

  • pronouns → プロナウン
    (※ただし口語では末尾の /z/ が弱く聞こえ、プロナウンスっぽく聞こえることも)
  • pronounce → プロナウン

英語のリスニングや、カタカナ表記をする場合などでは、以下のポイントに注意しましょう。

  • カタカナは英語の音を正確に表せない場合がある
  • 特に /s/ と /z/ の違い、語尾の音が消える現象は聞き取りミスの原因になる
  • リスニングでは発音記号や実際の音声で確認することが大切

ただ、人間の言語認識というのは不思議なもので、「知っている単語」は意外と聞き取りやすいものです。ここで紹介した「紛らわしい単語がある」ということを抑えていれば、文脈などと合わせて、より聞き取りやすくなるでしょう。

PronounceとPronunciation – 注意すべき母音の変化

動詞の pronounce(発音する) が名詞に変化すると、よくある英単語の変化とは少し違った変化をするため、注意が必要です。

母音変化のルール

pronounce(動詞)から名詞「発音」を作ると pronunciation になります。

ここでポイントは o が u に変わる こと。発音は、母音の変化に伴って以下の様に変化しています。わかりやすいように、カタカナでの表現も併記しておきます。

  • 動詞:pronounce → /prəˈnaʊns/
    → プロナウン
  • 名詞:pronunciation → /prəˌnʌn.siˈeɪ.ʃən/
    → プロナシエ―ション

多くの学習者が、「pronounciation」と書きたくなりますが、これは誤りです。

  • ❌ pronounciation(間違い)
  • ✅ pronunciation(正しい)

「知らせる」が語源?PronounceとAnnounceの親戚関係

日本語の「アナウンス」は announce から来た外来語で、「知らせる」「告げる」という意味で使われます。announceとpronounceは英単語として意味は異なっていますが、この二つの英単語の語源は兄弟関係にあたります。

語源を理解していると、単語の混同を避けることができ、記憶にも残りやすいため、知っておくと便利です。

共通の語根 “nounce” : ナウンス

pronounce と announce は、どちらもラテン語 nuntiare(知らせる)に由来します。
nuntiareの読みは地域や学派などによっても変わりますが、古典ラテン語の読みを無理やりカタカナ表記にすると「ヌーン・ティアーレ」のようになります。

ラテン語 nuntiare(知らせる)が英語に入る過程において、“-nounce-” という語幹が pronounce, announce などの単語の中に残った形です。

  • pro-(前へ)+ nounce(知らせる)=前に出して知らせる → 発音・宣告
  • ad-(〜に向かって)+ nounce(知らせる)=人々に知らせる → 発表する

語源・語根・語幹の用語解説

上記解説で、語根や語幹といった少し聞き馴染みのない言葉が登場しているので、以下にそれぞれについて補足説明しておきます。

用語説明特徴
語源(etymology)単語の歴史的な由来や変遷。どの言語から来て、どう形が変わったかを説明する。言語の歴史をたどる。意味や形の変化を含む。
語根(root)単語の意味の中心となる要素。接頭辞・接尾辞を外した最も基本的な形。単独で使えないこともある。複数単語に共通して現れる。
語幹(stem)活用や変化の際に語尾を付ける基礎部分。語根+派生接辞を含む場合もある。文法的に語尾変化の土台となる部分。

これらは以下の様に理解してもよいでしょう。

  • 語源は「歴史」
  • 語根は「意味の核」
  • 語幹は「文法的な土台」

pronounceの語形の変遷 – ラテン語から現代英語へ

pronounce/announceの語根からの変化は少し複雑で、以下のような経路をたどっています。

  • ラテン語 prōnūntiāre(前に+告げる)
  • pro-(前に)+ nūntiāre(知らせる、告げる)
  • 古フランス語 pronuncier(発音する/宣言する)
  • 中英語 pronouncen(発音する/宣言する)
  • 現代英語 pronounce

現代英語 pronounce の最終的な語源は中英語と呼ばれる言語にありますが、元を辿ればラテン語から派生してできた言葉です。

PronounsとPronounceを混同しないための覚え方

よく似た単語は記憶の中で混同してしまって、どっちだったかを思い出すのに苦労することがあります。ここでは Pronouns と Pronounce の覚え方について紹介します。

綴りと語源で思い出す

先ほど Pronounce の語源・語根について紹介しましたが、Pronoun(s)と比較すると以下のようになります。pronounceと同じ語根を持つannounceについても同表にまとめてみます。

単語意味ラテン語ルーツ意味構造
pronoun代名詞prōnōmenpro(代わり)+nōmen(名前)
pronounce発音するprōnūntiārepro(前に)+nūntiāre(知らせる)
announce発表するannūntiāread(〜に)+nūntiāre(知らせる)
pronounsとpronounceのルーツと構造

この語源・語根を把握しておけば、以下の様に判断することができるようになるでしょう。

  1. 綴り“noun” が見えたら「名前」
    pronoun → pro(代わりに)+ noun(名前)で「代名詞
  2. 綴り“nounce” が見えたら「知らせる」
    pronounce → pro(前に)+ nounce(知らせる)で「発音する

補足説明 : 同じ「pro」の意味が異なる理由

pronoun の pro- と pronounce の pro- は、どちらも同じラテン語接頭辞 pro- に由来します。ただし、この pro- は「前に」「〜の代わりに」など幅広い意味を持つため、文脈によって訳が異なります

pro- のコアイメージは「前に出る」です。

  • 「物理的に前に出る」→「人前で言う」→「宣告する」
  • 「名詞の前に立つ」→「名詞を置き換える」→「代理する」

カタカナに頼らず「発音」で覚える

実際の発音や、英単語の発音記号で覚えてしまうのもよいでしょう。発音記号について見比べて、違いを再度確認しておきましょう。

カタカナ表記に頼ってしまうと、間違いやすいので注意が必要ですが、以下の表では違いをわかりやすく紹介するため「カタカナ」も併記してあります。

単語品詞
意味
発音記号備考
カタカナ表記
pronouns(名詞)
代名詞の複数形
/ˈproʊ.naʊnz/最後は /z/ 音(ズ)
プロナウンズ
pronoun(名詞)
代名詞
/ˈproʊ.naʊn/最後は /n/ 音(ン)
プロナウン
pronounce(動詞)
発音する
/prəˈnaʊns/強勢は第2音節、最後は /s/
プロナウンス
pronunciation(名詞)
発音
/prəˌnʌn.siˈeɪ.ʃən/o が u に変化し、音も /ʌ/ になる
プロナンシエ―ション
announce(動詞)
発表する
/əˈnaʊns/強勢は第2音節、最後は /s/
アナウンス
pronounsとpronounceの発音記号と注意点

確認問題

ちょっとした問題で、正しく覚えられているかを確認してみましょう。

  1. 「彼女は名前を正しく発音した」
    → She (    ) her name correctly.
  2. 「私の代名詞はhe/himです」
    → My (    ) are he/him.

正解は以下になります。

  1. She pronounced her name correctly.
  2. My pronouns are he/him.

まとめ — 正しく覚えれば英語理解が深まる

pronouns と pronounce は、見た目も音も似ていますが、意味も使い方もまったく異なります。
さらに pronunciation や announce といった関連語を理解すれば、語彙の広がりと同時に語源への理解も深まります。

特に日本語話者にとっては、カタカナ表記に頼ると聞き間違いや意味の取り違えが起こりやすいので、発音記号・音声・文脈を意識して覚えるのがおすすめです。