慣用句などでは言葉本来の意味とは異なったニュアンスで使われることがよくあります。英語と日本語は違う言語なので、それぞれの言葉には独自の慣用句的な表現が沢山あって、勉強をしていくと本当に面白く、興味深いと感じます。
今回はそんな英語の表現の中で、個人的に思い入れがあって印象深かったフレーズ[I’m here for you]を紹介してみたいと思っています。大切な人に対して優しく語り掛ける時に使う言葉でもあり、覚えておくと使える場面があるかもしれないので、是非参考にしてみてください。
I’m here for you.の意味
直訳すると「私は貴方のためにここに居ます」という意味になりますが、実際の意味も根本はそのままで「ここにいるよ」とか「私がついてる」といった、寄り添うニュアンスがついてきます。
英語) I’m here for you.
和訳) 私がついてるよ
大事な人が落ち込んでいる時などに励ます場合に使われる表現でもあり、ドラマやアニメなどでも聞く機会が多いフレーズです。
使われるシチュエーションによっては、「力になるよ!」とか「お手伝いできるよ!」といった力添えをするニュアンスにもなり、日本語のように文脈によって捉え方が異なる印象のある言葉でもあります。
友人など大切な人が困っている際に手を差し伸べる温かい言葉なので、覚えておけば海外の人とのコミュニケーションで好感度を上げることができるかもしれません。
アニメ「無職転生」での暖かいシーン
I’m here for you.という言葉は、そのままでも言葉の意味は何となく解るため、意識して覚えようとは思ったことはなかったのですが、とあるアニメの英語字幕を観た際に、強烈に私の印象に残ることになったのでここで紹介しておきます。
このフレーズに限りませんが、アニメや映画などでは、言葉の使われるシーンが言葉と結びついて記憶されるため、理解度が高くなり、応用力も付くような気がします。類似したシーンを見た際に、英語でそのフレーズをつぶやいてしまいそうになり、そんな時は自分がそのフレーズを習得したと感じます。
今回紹介するアニメ「無職転生」は日本の人気アニメシリーズで、海外でも多くの人が楽しんでいるようです。海外では字幕版を見てのリアクション動画などの2次コンテンツが多く作られていたりもします。
英語でI’m here for you.という台詞が登場するシーンは、無職転生 Season 1の16話の最後のあたりです。
このシーンは、エリスという少女が主人公のルーデウスを抱きしめて、「私が…ついてるから」と優しく慰めるシーンで、普段勝ち気で傍若無人なエリスが、落ち込んで傷ついているルーデウスのために、戸惑いながらも不器用に励ますこのシーンは、とても印象的なシーンの一つです。
このアニメを知らない人のために、少しだけ状況を補足しておくと、大きな災害にあって親子が離れ離れとなり、主人公ルーデウスは見知らぬ土地から生まれ育った地域へと必死の旅を続けていました。アニメでいうと10話程度、約1クール分くらいは必至の旅をしていたわけです。そこでようやく父親と再会したものの、殴り合いの大ゲンカとなってしまい、その際に母や他の大切な人たちも消息不明という事実を知る事となり、完全に落ち込んでしまうことになりました。一緒に旅をする過程で徐々に信頼関係が築かれていったエリスはルーデウスを大切に思っており、このシーンの直前にはルーデウスを傷つけた父親を「殺してやる!」と叫ぶほどでした。もう一人の旅の同行者に凶行を諫められた後、この上のシーンへと続くわけです。
このシーンからは、明るく勝ち気で強い剣士を目指す少女エリスが、年下のルーデウスを実は頼りにしていて大切に思っているということが描かれており、その不器用な愛情表現がほほえましくもあり、そして優しさに気持ちが暖かくもなります。
そんな涙ぐむような大切なシーンで「I’m here for you」という表現を目にしたときに、私は強烈にそのフレーズが記憶に刻み込まれたのです。
[洋楽]Firehouseの楽曲「Here for you.」
私は中学~高校生くらいの時期は、いわゆる「洋楽かぶれ」に近い兄の影響もあって、多くの洋楽、特にロックを沢山聞いてきました。当時聴いていた楽曲の中には、特に好きだった曲というのがいくつもあり、そういった曲は歳を重ねてから聴いても、変わらずいい曲だなぁと思うものです。
そんな懐かしい洋楽の曲の中に、今回紹介する「Here for you」というタイトルの楽曲があったことを思い出すのには、それほど時間がかかりませんでした。Firehouseという大好きなバンドのその曲を、気になって直ぐにYoutubeで動画を探してみたところ、Youtube上では14年前にアップロードされていて、2024年現在で再生回数が2600万回ほどになっていました。
この曲を聴いていた中高生の頃は、歌詞の意味なんて考えもせず、メロディーや演奏がカッコいいとかそんな理由でなんとなく聴いていたわけですが、上記アニメで覚えた英語のフレーズと、その情景を思い浮かべながら改めて聴き直すことで、より一層心に響くようになったように思います。とても暖かくて感動的な歌なので、是非聞いてみてください。
懐かしいこの歌を聴き終えた後Youtubeを探索していると、最近になってこの曲をカバーしてYoutubeにアップしている人がいることを知り、更にびっくりしました。
Firehouseというバンドは、私は多くの洋楽ロックを聴いた中でも特に大好きなバンドの一つではありましたが、世界的な認知度が高いバンドとは言えず、どちらかというと「知る人ぞ知る」マイナーバンドの類と言えると思っていたのです。それが、10年以上も経ってから楽曲のカバーをされるようなことが起きるとは、到底思っていなかったのです。
特に以下のカバーは、元々のロック調の曲をアコースティックでカバーしてあり、個人的にはとても気に入りましたので、合わせて紹介しておきます。
相手に寄り添い励ますという気持ちは人やシチュエーションによって異なるので、ロック調もアコースティックカバーも両方ともあっているように思います。
ただ、私の中のI’m here for you.の印象が、エリスの優しく「私がついてるから」といったシーンになってしまっていることもあり、アコースティックの方が一層しっくりくるような印象をうけるようになりました。
I’m here for you.の前の台詞
Firehouseの楽曲[Here for you]のサビの部分では、I am Here for you. always here for you.という歌詞があり、ずっと傍にいるよと優しく語り掛ける温かい歌に感じます。また、この歌詞に入るサビ前には以下のフレーズ(歌詞)があります。
歌詞) There’s just one thing that I want you to know.
和訳) あなたに知ってほしいことが一つだけあります
このセリフに続いて、I am here for you.なんて囁かれたら、相手が異性だったら恋に落ちる音が聴こえてしまうかもしれません。かっこよすぎます。
無職転生16話のエリスの台詞では以下のような流れで使われていました。
台詞) 「大丈夫よ。私が…ついてるから」
英訳) 「It’s all right. I’m… here for you.」
どちらのフレーズもとても優しさに溢れていて、台詞だけで泣けてきます。
言葉は記号じゃなくシーンで覚える
学生時代の英語勉強は、唯々試験範囲の英単語や文法を「暗記」するだけの、本当につまらない作業でした。そんな暗記するだけの科目を好きになることもなく、当時は英語の勉強が憂鬱だったことを覚えています。
私が英語を面白いと感じたのは、社会に出て社員旅行でいった初めての海外で「英語でコミュニケーション」したことです。この時に、英語がただの暗記する記号ではなく、人とのコミュニケーションをするツールであることを本当の意味で理解した気がします。
英語に興味を持ったものの、日本に住んでいると英語で会話する機会はほとんどありませんでした。文書の英語は読む機会が多かったものの、英会話力は当然上がらず、話されている英語を「理解しよう」と考えることは殆どなかったように思います。
最近になって、英語という言語を覚えていくのは、「話しているシーン」から覚えるのが良いと感じるようになりました。これは、「点で覚えるのではなく」「流れで覚える」という点で歴史の勉強と共通しているようにも思います。
洋画や海外ドラマをただ流し見するのは意味がないと言われる意味が、ようやく理解できたような気がします。しっかりと流れを把握したうえで、会話で使われているフレーズを覚えて初めて、その英語を習得することができ、自分でも使えるようになるようです。
海外のドラマとか英語字幕の日本語コンテンツで、まずはかっこいい決め台詞とかからでよいので、使われるシーンや発言する人の感情や表情なんかと一緒に覚えるようにすると、英語の学習が捗りそうなので、是非試してみてください。
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