江戸時代の日本とアメリカ – 独立とペリー来航そして南北戦争へ

江戸時代の日本とアメリカ 歴史

アメリカ合衆国は、世界最高の経済と軍事力をもった大きな国として知られていますが、日本に比べるとその歴史はとても短いものです。

アメリカの独立やペリー来航は、江戸時代のどの頃にあたるのでしょうか。歴史の出来事は点で学ぶことが多いですが、今回は歴史の出来事の「当時どんな状況だったのか」を確認するため、江戸時代の日本とその頃のアメリカ合衆国の動きを比較しながら、並列にまとめています。

江戸時代の日本とアメリカ

江戸時代は日本の歴史区分のひとつで、最後の武士社会であり、近現代の大きな転機となった時代でもあります。一般的には、関ケ原の合戦後に江戸に幕府が開かれた1603年から、幕末の変革後に大政奉還が行われる1868年までの期間を「江戸時代」と呼んでいます。(265年間)

西暦出来事
1603年江戸幕府が始まる
1868年大政奉還

厳密には、1868年10月23日に「一世一元の詔」が発布されて、慶応から明治に元号が改められるまでが江戸時代となります。(天皇一代で元号が一つに定められた)

江戸時代に生まれたアメリカ合衆国

アメリカは、イギリスから独立することで創られた国家です。

アメリカの独立戦争と独立記念日

アメリカがイギリスからの独立を宣言したのは「1776年7月4日」の事で、現代でも7月4日はアメリカ合衆国の「独立記念日 : Independence day (インディペンデンスデイ)」という祝日になっています。

独立宣言時点では、アメリカとイギリスはまだ戦争中でしたが、最終的には1783年にパリ条約にてイギリスがアメリカの独立を承認しました。

天皇や日本の成り立ちを知った日本人 – 古事記伝

アメリカが誕生した1776年は、日本では江戸時代に入って150年ほど経っている頃です。

アメリカが独立を果たした頃の日本は平和ですが、人々の暮らしは楽ではなく、豊かだった日本を取り戻そうと考えた本居宣長などが「国学」の研究を進めていた時代です。

平安時代頃の文献の解読が進められ、西暦1800年頃には日本に「注釈付きの古事記」が広まり、天皇や日本の成り立ちが日本人の知るところとなりました。(当時、古事記の写本はあったが読めなかったのを、解読して注釈がつけられた)

西暦出来事
1776年アメリカの誕生 (独立宣言)
1790年古事記伝 初版刊行

古事記伝は、尊王攘夷思想の根幹でもあり、その思想の先には倒幕や明治維新が繋がっています。

ペリー来航の少し後に起こったアメリカの「南北戦争」

アメリカと日本が初めて接触したのは、1853年のペリー来航、つまり黒船の襲来です。アメリカは1776年にイギリスから独立した後、1853年には日本に軍事的な圧力を伴った外交を仕掛けてきていることになります。(77年後)

西暦出来事
1776年アメリカの誕生 (独立宣言)
1790年古事記伝 初版刊行
1853年ペリー来航

ペリーが来航した翌年には、日本では現代でも話題になることが多い「南海トラフ地震」が起こっており、国内は大混乱でした。安らかな時代の到来を願って「安政」という元号に改元されます。詳しくは以下の記事を参照ください。

奴隷制度を巡った内戦「南北戦争」と「日米修好通商条約」

日本に不平等条約を押し付けている頃のアメリカ合衆国は、平穏な時代ではありません。

日本とアメリカとの間に「日米修好通商条約」が結ばれたのが1858年、その3年後の1861年から1865年までは、アメリカでは南北に分かれて行われた大きな内戦「南北戦争」が行われています。南北戦争は簡単にいうと、奴隷制度を撤廃しようとする北部と、農業などで奴隷が必要だった南部の軍事衝突です。

西暦出来事
1858年日米修好通商条約
1861年南北戦争 開始
1865年南北戦争 終結
1868年大政奉還

アメリカで南北戦争が起こっている頃、日本では幕末の騒乱真っただ中です。南北戦争が終結した3年後にあたる1868年には大政奉還が行われ、明治時代に突入しています。

幕末時期にアメリカで進んでいた「電気の活用」

江戸時代の日本には電気が無かったことが知られていますが、日本が幕末の時期にはアメリカでは「電気の研究」が盛んに進められていました。

雷が電気である事の証明

アメリカが独立する少し前に、雷が電気である事が証明されたばかりで、人類の「電気の歴史」はアメリカの歴史と共に始まっているともいえるでしょう。

電気の発見と実用化が進められていた江戸時代

日本にペリーが来航するよりも少し前に、アメリカでは「電気技術」が開発され、実用化が進み始めます。日米の動きと、電気の発見・実用化を年表にまとめると以下のようになります。

西暦出来事区分
1752年避雷針の発明電気
1776年アメリカの誕生 (独立)アメリカ
1830年代電信技術が実用化電気
1858年日米修好通商条約日米
1861年 – 1865年南北戦争アメリカ
1868年大政奉還日本
1870年代発電機が完成電気

発電機が完成した後は、アメリカでは急速に「電気の商業化」も進み、広く電灯が普及していくことになります。日本では明治時代初期の頃にあたります。

西暦出来事
1879年白熱電球が開発される (エジソン)
1882年ニューヨークに火力発電所
1880年代電気照明が広まる
1893年新世界より (ドヴォルザーク)

1893年に、クラシック音楽として有名なドヴォルザークの「新世界より」が作曲されています。「新生会より」は、日本では編曲された「遠き山に日は落ちて」という曲としても知られています。

「ドヴォルザーク : 新世界より」は、電灯の普及が進んで「夜も明るい」アメリカから、故郷のボヘミア(チェコ西部)を思って作られた曲です。

電気のある世界に生きている私達には想像が難しいですが、当時は「新世界」と感じる程に「電灯で輝く街」が衝撃的だったことが伺えます。

並列に進んでいる歴史の時間

歴史上の出来事は、起きた年と内容を「点」として学ぶことが多いですが、実際には現実と同じで「全てが並列に進んで」います。

幕末時期に日本に圧力をかけていたアメリカも実は国内では戦争をしており、日本で近代化が進められていた頃は、アメリカでは電気の活用が始まったくらいの時代です。

並列に進んでいる歴史の点を、一歩引いて俯瞰して捕えてみると、色々な物事が変わって見えてくるのではないでしょうか。

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