英単語 bury は基本的な語彙ながら、その発音は学習者を悩ませる存在です。
綴りは「bury」なのに、実際には「ベリー」と読む。この不思議なズレの背景や、変化形・派生形の発音、さらには「埋葬」をめぐる英語表現について整理してみましょう。
buryの意味と用法
まずは基本的な意味を押さえておきましょう。
bury は「埋める」「埋葬する」を意味する動詞です。
基本の意味
- 物を土の中や別の物の下に隠すこと
The dog buried a bone in the garden.
(犬が庭に骨を埋めた) - 人を墓地に葬ること
They buried him in the cemetery.
(彼らは彼を墓地に埋葬した)
比喩的な使い方
- bury oneself in work(仕事に没頭する)
- bury the past(過去を葬る/忘れる)
- bury one’s face in one’s hands(顔を手に埋める)
単純に「土に埋める」だけでなく、心理的な意味合いにも広がるのが特徴です。
buryの発音と変化形
学習者を戸惑わせるのはここです。
bury は「バリー」や「ブリー」ではなく /ˈberi/、
つまり「ベリー」と読みます。
しかも変化形も一貫してこの系列で発音されます。
「ベリーの発音」の覚え方
ネイティブスピーカーにとって bury は berry(ベリー) とまったく同じ発音です。
berryという単語は、ブルーベリー(blueberry)の “ベリー” です。
- bury → /ˈberi/(ベリー)
- berry → /ˈberi/(ベリー)
綴りに惑わされず、「bury = ベリー=berry」と同じ、と覚えるのが一番シンプルです。
「ブルーベリーのベリー」と思い出せば、発音を間違えることはなくなるでしょう。
発音のイメージをつかんだら、次に動詞としての変化形を確認してみましょう。
動詞の変化
buryの動詞としての変化について、以下の表に整理しました。発音記号だけでなく、カタカナの目安も添えています。
いずれも「ベリー」の音が保たれています。
形態 | 意味 | 発音記号 | カタカナ読み |
---|---|---|---|
bury(原形) | 埋める | /ˈberi/ | ベリー |
buries(三人称単数) | 埋める | /ˈberiz/ | ベリーズ |
burying(現在分詞) | 埋めている | /ˈberiɪŋ/ | ベリーイング |
buried(過去・過去分詞) | 埋めた | /ˈberid/ | ベリード |
名詞・派生語
bury の派生語には以下のようなものがあります。
特に burial は綴りとの乖離が大きく、発音に注意が必要です。
形態 | 意味 | 発音記号 | カタカナ読み |
---|---|---|---|
burial(名詞) | 埋葬 | /ˈbɛriəl/, /ˈbɜːriəl/ | ベリアル/バーリアル |
burier(名詞) | 埋葬する人 | /ˈberiər/ | ベリアー |
buried(形容詞) | 埋められた、隠された | /ˈberid/ | ベリード |
unburied(形容詞) | 埋葬されていない | /ʌnˈberid/ | アンベリード |
rebury / reburial | 再埋葬する/再埋葬 | /ˌriːˈberi/, /ˌriːˈbɛriəl/ | リーベリー/リーベリアル |
buried の用法 – 過去・過去分詞、形容詞まとめ
buried(ベリード) は、動詞としての過去形・過去分詞形だけでなく、形容詞としてもよく使われる単語です。
状況や文脈によって意味が変わるため、以下のように整理しておくと理解しやすいです。
- 過去形
- They buried him yesterday.(彼らは昨日彼を埋葬した)
- 過去分詞形
- The village was buried under snow.(村は雪に埋もれた)
- 形容詞
- a buried treasure(埋蔵金)
- buried emotions(心の奥に隠された感情)
なぜ「ベリー」と読むのか – 綴りと発音のズレ
bury の語源は古英語の byrgan(ビュルガン/覆う・保護する・埋める)に由来します。
この y は「イ」と「ウ」の中間のような音で、中英語ではしばしば u と綴られるようになりました。ところが発音は「エ」に近づき、最終的に「u」の綴りに「e」の発音というズレが固定されたのです。
英語にありがちな「スペルと発音の不一致」の一例といえるでしょう。
スペルと発音がずれた単語の例
bury だけでなく、英語には「綴りと発音が一致しない」単語が数多く存在します。
- busy → /ˈbɪzi/(ビジー)
- sew → /soʊ/(ソウ)
- colonel → /ˈkɜːrnəl/(カーネル)
こうした単語を見ていると、英語のスペルと発音の関係はまるで「当て字クイズ」。
学習者にとっては頭を抱える要素ですが、実は英語ネイティブも「なぜこう読むのか」と問われれば説明に詰まる“伝統芸”だったりします。
関連語との比較 – buryとburrow
bury とよく比較されるのが burrow(穴を掘る)です。
- bury = 覆って隠す、埋める
- burrow = 掘る、穴を作る
burrowの発音は /ˈbʌroʊ/(バロウ)です。
buryの発音 /ˈberi/(ベリー)とは大きく異なっているため、注意が必要です。
bury(埋める)と burrow(穴を掘る)は、発音も意味も違いますが、どちらも「隠す」「覆う」というイメージを共有しています。語源的には直接の兄弟ではありませんが、意味の近さから「遠い親戚」のような関係といえます。
buryとburrowの例文比較
buryとburrowは発音を間違いやすい単語です。
文章で出てきた際に、咄嗟に「ベリー」「バロウ」が読み分けられるか、例文で確認しておきましょう。
- They buried the box in the garden.(彼らは箱を庭に埋めた)
- The rabbit burrowed into the ground.(ウサギが地面に穴を掘った)
読み分けできたでしょうか?
正解は、上がburyの過去形buried(ベリード)、下がburrowの過去形(バロウド)でした。
何度も確認し、buryの不思議な発音に慣れてしまいましょう。
埋葬を表す英語表現 – 土葬・火葬など
bury の意味を理解したところで、日常会話やニュースで役立つ埋葬関連の英語表現を整理しておきましょう。
覚えておきたい基本表現
埋葬について、一般的には以下のような単語や表現がよく使われます。
- burial(埋葬、葬儀)
発音 : /ˈbɛriəl/ – ベリアル
最も一般的な表現です。
葬儀そのものを指すこともあり、宗教的な儀式にも使われます。
→ 火葬か土葬かを特定していない「埋葬」の意味- a Christian burial
(キリスト教の埋葬式)
- a Christian burial
- cremation(火葬)
発音 : /krɪˈmeɪʃən/ – クレメイション/クリメイション
日本や都市部では主流の方法です。
環境問題や文化的な議論の中で頻繁に登場します。- Cremation is more common than burial in Japan.
(日本では埋葬より火葬の方が一般的です)
- Cremation is more common than burial in Japan.
- earth burial / ground burial(土葬)
火葬と対比させて「土葬」を強調したい時に便利です。- Earth burial is still practiced in some rural areas.
(一部の農村地域では今も土葬が行われています)
- Earth burial is still practiced in some rural areas.
関連記事:日本で「土葬」はダメなの?
現在の日本では、多文化共生や移民問題の文脈で「土葬」や「火葬」という単語が使われることが多くなっています。
以下の記事では、日本の現在の法制度をまとめると共に、日本で火葬が中心となった歴史的な背景を紹介しています。外国人に、正しく日本の状況を説明するためにも、正しい現状を把握しておきましょう。
補足:知っておくと役立つ表現
- interment(埋葬:フォーマルな語)
新聞記事や契約書、法的文脈でよく使われます。 - inhumation(土葬:学術用語)
考古学や人類学で用いられる専門的な表現です。
日常会話やニュース英語としては burial / cremation / earth burial を押さえれば十分です。そのうえで、フォーマルな文章や学術的な場面に触れる場合は interment / inhumation も「知識として知っておく」程度でよいでしょう。
この記事の要点まとめ
- bury は「埋める・埋葬する」を意味するが、発音は「ベリー」
- ネイティブ感覚では berry(ブルーベリーのベリー)と同音
- 動詞の変化形(buries, buried など)も「ベリー」系列で発音される
- burial は特に発音がズレやすく注意が必要(ベリアル/バーリアル)
- 語源は古英語 byrgan に由来し、「by → u」「音は e 系列」というズレが固定された
- 埋葬関連の実用的な英語表現は burial / cremation / earth burial を押さえておけば十分
関連記事:発音を間違いやすい単語「プレイグ」
英語には発音を間違いやすい単語が他にもあります。
その一つが plague(プレイグ)です。意味は「ペスト」や「疫病」。
日本が土葬から火葬に移行した背景には「コレラ」がありました。
「コレラ」は汚染された水源が感染の原因でしたが、「ペスト」はネズミなどに付いているノミを媒介として広がる感染症です。
発音のコツや例文、さらに「思い出しやすくなるキャラクター紹介」なども交えて解説しています。ぜひあわせてご覧ください。