【特集】英語から見る文化の違い ― 言葉に刻まれた価値観と世界観

英語から見る文化の違い

英語と日本語は、同じものを指しているようで、実は異なる価値観や世界観を背負っています。
本特集では、英語の言葉を手がかりに、文化や宗教観の違いを読み解いていきます。

言葉の違いは、文化の違いでもある

言葉は、文化や価値観と切り離して存在することはできません。
英語も日本語も、それぞれ固有の歴史や宗教観を背景に持っています。

辞書に載っている「翻訳」は、最も妥当な言葉を当てて説明したものです。

しかし、その過程で、本来のニュアンスが十分に伝わらなくなっている言葉も少なくありません。

元の単語は状況や意味合いによって使い分けられていても、
翻訳語では同じ単語・言葉としてまとめられてしまうことがあります。
辞書に書かれた簡単な説明だけで、こうした違いを理解することは容易ではありません。

この特集では、翻訳の成否を評価するのではなく、
言葉の背景にある前提の違いを可視化することで、文化や世界観のズレを読み解いていきます。

言葉のズレにはパターンがある

翻訳で当てられている言葉には、その関係性にいくつかのパターンがあります。
英語と日本語の関係性の中では、以下のようなものが考えられます。

分類軸説明
普遍型人間共通経験水/water, 母/mother
概念輸入型近代に輸入宗教/religion, 社会/society
意味融合型似て非なる概念神/God, 悪/evil
翻訳語のパターン(分類軸)

英語と日本語の翻訳に見られる特徴

日本にとって、英語という言語は比較的新しい外国語です。
本格的な翻訳が始まったのは、幕末から明治にかけての近代以降でした。

それ以前にもオランダ語などを通じた西洋知識の受容はありましたが、国家制度や思想そのものを大規模に翻訳し直す作業が行われたのは、この時代が初めてでした。

短い期間の中で、西洋の概念を表現するための言葉が数多く生み出されました。

日本語側は既存語を再定義したり、漢語(和製漢語)を新造したりして対応しました。

その結果、もともとは同じ意味を指す言葉として結び付けられたはずの語が、時間の経過とともに意味を変質させていく現象も生まれました。

また、元来は世界観の異なる概念同士が辞書上で対応させられたことで、日本語の内部でも近代以前と以後で意味が揺れ動く語が現れることにもなりました。


本特集では、主に概念輸入型と意味融合型について、どのような経緯で翻訳語が作られ(当てられ)、それが現在どのように違ったニュアンスを帯びるようになっているのかを紐解いています。

宗教的背景を持つ言葉と、その翻訳

宗教は、英語と日本語の意味のズレが最も表れやすい分野の一つです。
同じ言葉で訳されていても、前提となる神観や世界観が異なるため、受け取られ方に違いが生まれてきました。

ここでは、宗教的背景を持つ言葉を手がかりに、その翻訳や理解のズレを整理します。

divineとsacredの違い ― 「神聖な」にまとめてしまう日本語の感覚
divineとsacredの違いを、辞書的な意味だけでなく英語話者のニュアンスから整理します。言葉の違いを手がかりに、文化や宗教観の背景にも目を向けてみます。
Godは神と訳していいのか ― 翻訳が生んだ認識のズレ
Godはなぜ日本語で「神」と訳されたのか。その翻訳の背景と、英語と日本語における「神」の捉え方の違いから、言葉が生んだ認識のズレを整理します。
god / deity / spirit の使い分け ― 日本の「神」を英語で説明するには
日本の「神」は英語の god では十分に説明できません。god / deity / spirit の違いと使い分けを整理し、日本の神や宗教観を英語で説明する際の注意点と例文を紹介します。
CrusaderとPaladinの違い ― 十字軍の歴史とファンタジーの境界
聖戦士として同じようなイメージを抱きがちなCrusaderとPaladinの違いを、十字軍の歴史とファンタジー表現の視点から整理します。英語圏における文化的背景や捉え方への理解を深めます。
神社=shrine?寺=temple? ― 英語本来の意味と翻訳の経緯
神社=shrine、寺=temple が本来の英語の意味とどこまで一致するのかを解説します。語源の違い、翻訳が生まれた背景、明治日本の言語政策、現代英語での使い分けなどをわかりやすく整理します。
ireから見る神の違い ― 愛ゆえに「怒る」人格神の世界観
英単語「ire」は、単なる怒りを表す語ではありません。人格神や正義の捉え方と結びついた背景から、英語圏の宗教観・文化観の違いを読み解きます。
justiceは宗教か ― 英語から見る「正義」という言葉の由来
英語の justice は日本語では「正義」と訳されます。現代では宗教性を意識せずに使われる言葉ですが、その由来や背景を辿ると異なる前提が見えてきます。英語から文化の違いを読み解きます。
evilという言葉の重さ ― 英単語から見える絶対善の構造
evilは本当に「悪い」だけの意味なのか。日本では軽く使われがちな言葉ですが、英語圏では強い断定の響きを持ちます。Godを絶対善とする宗教観から、その重さの理由を読み解きます。
curseと呪い・祟りの違い ― 言葉に宿る宗教観
英語の curse は日本語では「呪い」と訳されますが、その意味や宗教観は必ずしも同じではありません。curse・呪い・祟りを比較し、言葉に宿る宗教観の違いを整理します。

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発音や綴りが紛らわしい英単語について、実際の英会話で使ったり、英単語を聞き分けるのに役立つ記事を集めています。語源や由来など、印象に残りやすい雑学も多く紹介していますので、楽しみながら単語を習得できます。

発音が紛らわしい単語

日本語には外来語(カタカナ語)がある関係で、カタカナ表記した時に同じになってしまう英単語があります。特にRとLは、カタカナのラ行になってしまうため、日本人にとっては「紛らわしい」と感じる事がよくあります。

こういった発音が紛らわしい単語は、日本人からするとよく似ていますが、英語話者からすると「全く異なる単語」なので、会話で使う場合には注意が必要です。

意味が違う「カタカナ語」

日本語として一般的になっている外来語の中には、元の英単語と違う意味で使われるようになっている言葉も多くあります。

カタカナ語の意味のつもりで英単語を使ってしまうと、相手には意図が伝わらない可能性があるため、注意が必要です。