fix, repair, mendという英単語は、日本語に訳すとどれも「直す・修理する」になり得ますが、かなり違う発想を持った語です。
それぞれの単語はどのように違うのでしょうか。
本記事では、それぞれの単語がどういったニュアンスを持った英単語なのかを確認し、その違いを捉えます。語が何に注目しているのかといった違いも見えてきます。
fix ― 「あるべき状態に据え直す」
fixという英単語は、現代英語では最も広く使える「直す」といえるでしょう。
- fix a computer → パソコンを直す
- fix the car → 車を直す
- fix the problem → 問題を解決する
- fix a bug → バグを直す
- fix the roof → 屋根を直す
のように、様々な場面・対象に対して使われます。
fixの語源
fix はラテン語 figere 「固定する、打ち込む」に遡ります。
英語の fixed に現在でも「固定された」という意味があるのは、この古い意味をよく残しています。
つまり元々、
fix = あるものを一定の位置・状態に据える
という発想です。
そこから、
おかしくなっている状態
↓
あるべき状態に据え直す
↓
「直す・解決する」
という意味が発達しました。
そのためfixは非常に抽象化しやすく、幅広い場面で使われます。
repair ― 「損傷を修復する」
repair という英単語は、今回取り上げているfix, repair, mendの3語の中では、もっとも日本語の「修理する」に近い単語といえるでしょう。
- repair a car
- repair a machine
- repair a damaged bridge
- repair the roof
- repair the damage
のように使われます。
repairの特徴
repairの基本的な構造は、
正常だったものが損傷する → 手を加えて機能・状態を回復させる
となります。
したがって、
I fixed my computer.
なら「パソコンの問題を解決して使えるようにした」という感じですが、
I repaired my computer.
なら「故障したパソコンに修理作業を施した」という、やや具体的・技術的な響きになります。
fixとrepairの違いと捉え方
fixとrepairはよく似ていて、その違いは捉えにくいですが、
- fix = 問題 → 解決
- repair = 損傷 → 回復
と整理すると、かなり広いケースに応用できるでしょう。
fixとrepairという語は、どちらも物理的・抽象的な対象に使うことができます。
たとえば人間関係に対しての場合、
We need to fix our relationship.
→ 私たちの関係には問題があるので、それを何とかする必要がある
We need to repair our relationship.
→ 私たちの関係は傷ついてしまったので、それを修復する必要がある
といった視点・ニュアンスの違いが出ます。
また物理的な対象の場合でも同様で、PCが起動しないとき、設定を変更して起動するようにしたなら fix が自然です。一方、壊れた部品を交換して機能を回復させたなら repair が自然といえます。
ただしこれは絶対的な区別ではなく、部品交換をしても日常会話なら I fixed my PC. と普通に言えてしまいます。
repairの語源
これは古フランス語を経由した語で、さらにラテン語系へ遡ります。
興味深いのは、語源的には概ね
re-(再び)+ parare(準備する、用意する)
という構造を持つことです。
そこから、「再び使える状態に整える」といったイメージで捉えることができ、現代の意味である「損傷したものを元の状態に戻す」ともつながります。
mend ― 「傷んだところを繕う」
mendはrepairとかなり近い語ですが、もっと生活感のある「繕う・補修する」という感覚があります。
典型的な用例としては、
- mend a shirt → シャツを繕う
- mend a hole → 穴を繕う
- mend a fence → 柵を補修する
- mend a broken toy → 壊れたおもちゃを直す
などが挙げられます。
mendの特徴
mendの用例の中でも、特に衣服について、
mend clothes
は非常に分かりやすい典型例です。
日本語の訳として、
- repairが「修理」なら、
- mendは日本語の「繕う」「補修する」にかなり近い
といえます。
比喩にも使われるmend
mendには、「傷ついたものを癒して元に戻す」という感覚があるため、比喩にも広がります。
mend a broken heart
傷ついた心を癒す
mend their relationship
関係を修復する
ここでは「問題を解決する」というfixより、傷・裂け目を塞ぐような感覚が残っています。
mendの語源
語源的には、mend は amend(法律を改正する) と親戚といえます。
中英語の amenden から語頭部分が脱落して menden となり、現在の mend へとつながりました。
さらに遡ると、ラテン語 emendare(誤りを取り除く、正す)に由来します。
現在でも、
- mend → 壊れたり傷んだりしたものを直す(修繕する)
- amend → 文書・法律などを修正する(改正する)
という形で意味が分かれています。
fix, repair, mendの比較 ― 何に焦点があるのか
ここまで確認してきたfix, repair, mendの3語を比較し、表に整理してみます。
それぞれ何に焦点があるのでしょうか。
| 語 | 中心的な発想 | 日本語なら | 焦点 |
|---|---|---|---|
| fix | 正しくない状態を正常にする | 直す・解決する | 問題・状態 |
| repair | 損傷したものの機能を回復する | 修理する・修復する | 損傷・機能 |
| mend | 傷・破れなどを繕って回復させる | 繕う・補修する | 傷んだ部分 |
語を入れ替えたらどうなるのか ― 例文で確認する語の違い
語のニュアンスがどのように違うのか、「壊れた椅子」を例に確認してみましょう。
それぞれの語を入れ替えてみると、少しずつニュアンスが異なっているのが確認できます。
I fixed the chair.
→ 椅子を直した。
→ とにかく問題は解消した。
I repaired the chair.
→ 椅子を修理した。
→ 壊れた部分に修理作業を施した。
I mended the chair.
→ 椅子の傷んだ部分を補修した。
→ fix / repair よりも、「傷んだ箇所を繕う・補修する」というニュアンスが前面に出る。
※ただし、現代の日常英語で椅子を「直す」なら fix や repair の方が一般的です。
それぞれ、椅子を直したという同じ現実を見ていても話者がどこに焦点を置くかが違っているため、文章で使われた際の捉え方やニュアンスには違いがあります。
英語から考える日本語
fix, repair, mendは、どれも修理するといった意味で使われる英単語でしたが、確認してみるとそれぞれの語が持つ意味領域やニュアンスには違いもありました。
この違いだけを見ると、英語は日本語と違って複雑なように感じてしまいますが、私たちが使っている日本語も、改めて違いを問われると、その説明が簡単ではないこともあるでしょう。
今回の例で挙げると、非日本語話者から「修理する」と「修繕する」「直す」などは何が違うのか、と問われると、おそらく似たような説明・解説が必要になることでしょう。
私たちの日本語も、改めて考えてみると興味深い語も多く、そこからは文化的な違いも見えてきます。
本記事は「英語から見る文化の違い」特集の一部です。
この特集では、英語の言葉を手がかりに、文化や宗教観の違いを読み解いていきます。


