日本で販売されている食料品には消費期限や賞味期限の表記があります。この表記自体は日本独自の法制度によるものですが、海外には類似した表記が行われている国や地域もあります。
日常の中で目にしたり意識することが多い言葉の中にも、いざ英語で表現しようとすると正確な単語が出てこなかったり、説明に苦労するようなことがあるものです。今回は、そんな日常の中で使われるけど意外と英語表現に苦労することが多い賞味期限や消費期限といった英単語について確認していきます。
英語での賞味期限と消費期限
日本では食品には期限を明記しなければならない法的な制約(食品衛生法やJAS法)があるため、スーパーなどで販売されているものに賞味期限・消費期限のどちらかが記載されているのが常識ではあります。
海外では法律が異なっているため、そもそも食品の期限が記載されていないこともあります。
先進国ではイギリスやフランスなどは日本と同じような法律がありますが、アメリカでは連邦レベルでは義務付けはなく、州によっては食品期限の掲示がない場合もあるでしょう。少し古い平成20年の資料ですが、厚生労働省の資料を参考までに掲載しておきますので、興味のある方はご覧ください。
出典 : 厚生労働省 食品の期限表示について
海外の人とコミュニケーションをとる場合に、食品には「賞味期限や消費期限という期限がある」ことを前提として会話をしてしまうと、意思疎通が難しくなってしまうこともあるかもしれないので、日本ではそういう文化なのだということを念頭において話す様に注意しましょう。
Shelf Life – 賞味期限を表す英語表現
英語で賞味期限を表現する場合は、Shelf Lifeという言葉が使われます。
Shelfという単語は「棚」を意味するので、Shelf Lifeというのは「棚においておける時間」という意味合いの言葉といえるでしょう。Shelf boardで棚板を意味する他、Shelf displayと言えば(商品の)棚の陳列の事を指します。
日本語での賞味期限は、メーカーが「味を保証する期限」であり「食品が品質を保ち、おいしく食べられる期限」ですが、英語のShelf Lifeも賞味期限と同じようなニュアンスで使われます。
賞味期限とShelf Lifeの違い
日本の賞味期限と海外のShelf Lifeには違いがあるため注意が必要です。
日本での賞味期限というと「期限が切れる日付」を掲示しますが、Shelf lifeの場合は「期限が切れるまでの期間」を掲載するのが一般的で、何か月という意味を示すアイコンが使われることが多いです。

また、日本での賞味期限は食品に使われる言葉ですが、Shelf lifeは食品以外にも使われます。スキンケア商品のような品質が劣化してしまうものなどにも、上記のようなアイコンで期限が示されることがあります。
Expiration date – 消費期限を表す英語表現
日本の食品には賞味期限の他に消費期限が記載されていることがあります。消費期限は英語ではExpiration dateと表現します。Expiration date以外に、Expiry dateが使われる場合もあります。
英語表現 | 種別 |
---|---|
Expiration date | アメリカ英語 |
Expiry date | イギリス英語 |
Expireは「期限が切れる」ことを意味しており、食べ物以外でも有効期限など様々なものに対して使われる言葉です。ゲームなどでも効果時間が切れるといった意味合いで使われることも多く、聞いたことがある人も多いかもしれません。
Expirationは有効期限の事なので、Expiration dateは日本語では有効期限日ということになります。食品にExpiration dateが記載されている場合は、食品の有効期限日 = 消費期限というニュアンスになります。
Expireの発音には注意が必要
「期限切れ」を表す動詞Expireは、カタカナで無理やり表記すると「エクスパイア」ということになるでしょう。一方、名詞に変化したExpirationは「エクスピレイション」と発音も変化します。
英単語 | カタカナ発音 | 品詞 |
---|---|---|
Expire | エクスパイア | 動詞 |
Expiration | エクスピレイション | 名詞 |
つまり、消費期限を表す「Expiration Date」をカタカナで表記すると、エクスピレイション デートということになります。
会話で使われるシーン
言語を覚える場合、学生の間などは単語帳などを使って機械的に記憶に刻み込むという作業をしてしまいがちですが、そういった記憶は弱く失われやすいものです。
赤ちゃんが言語を習得していくように、目や耳で体感した「シーンの中での言葉」として記憶すると、同じような状況に出会った際に「自然と記憶が蘇る」ように思います。今回は賞味期限に関する英語が使われているシーンとして、以下の切り抜き動画を紹介させていただきます。
賞味期限の表現が思い出せない – YouTubeショート
英語圏の演者がゲームの中で「賞味期限」の単語が思い出せず、視聴者に突っ込まれながら思い出すというシーンを、日本語字幕を付けて面白く編集されています。
英語圏の人は英語を完璧に使えると思ってしまいがちですが、意外と言語というのは皆中途半端なものです。私たち日本人でも難しい漢字が読めないといったことは日常の中に起こるものです。
青月レミアさんについて
上記ショート動画に登場しているVTuberは、VSPO!(ぶいすぽっ!)のEN(English)メンバーの一人「青月レミア」さんです。
言語としては英語の他に広東語(Cantonese)なども話せるそうです。日本語は初心者(Noob)と自己紹介されています。ゲームとしてはCounter-Strike 2をプレイする他、ValorantやPaydayなどのFPSについてもプレイすると初配信で語られています。
YouTube channel : Remia Aotsuki 【VSPO! EN】
賞味期限の他の言い回し
上記切り抜き動画の中で、青月レミアさんがDurabilityという言葉を発して恥ずかしがっています。このDurabilityという単語は、耐久度という意味合いの言葉です。
彼女は恥ずかしがっており、確かに英語圏では違和感のある表現なのかもしれませんが、日本の厚生労働省の賞味期限に関する英訳として[Date of Minimum Durability]という表現が使われることもあるようなので、日本人的には意味も通じて違和感も少ないような気もします。
Durabilityという単語のイメージ
英語でDurabilityというと、ハンマーで何かを叩くような「耐久性」のことを想像したり、ゲームなどで道具や防具などが壊れていく「耐久度」のことを想像します。
食品の賞味期限の意味で使ってしまうと「ものすごく硬さに優れた食品」をイメージしてしまい、今回の視聴者からの指摘に繋がっています。
「在庫」を表すストック – Stock
上記切り抜き動画の中で彼女が発した言葉に「Stock Life」という言葉があります。Stockは日本語では「在庫」の意味で、彼女としては「在庫としての寿命 = 賞味期限」のようなイメージでStock Lifeという言葉を紡いだのでしょう。
Stockというのは、日本語においてもカタカナで「ストック」と言い表すことがあり、これは「在庫」や日常生活においては「買い置き・予備」のような意味合いで使われています。比較的耳にする機会も多い単語のため、日本人としてはこの英単語が「在庫」の意味を指すことに違和感を覚えることは少ないのではないでしょうか。
Stockには「株」という意味もある
意外なことに、このStockという単語は「株」の意味を持っています。切り株の意味ではなく、株式会社などで使われる「株」のことです。
「株」というのは若年層には縁が遠く、学校でも株取引などは習うことはないので、人によっては一生の中で株の売買を経験しないこともあるでしょう。なので、Stockを株という意味で使う機会はあまり多くないかもしれません。
ですが、知識として知っておけば、意外と「英会話が聞き取れる」ことに繋がることもあるので、使わない単語でもできるだけ頭の片隅に置いておきましょう。先に紹介した通り、シーンとして覚えておけば、記憶が繋がって思い出しやすくなるのでオススメです。
Stock = 「株」の印象的なシーン紹介
この「株」を使った印象的なシーンがある[Kevin’s English Room / 掛山ケビ志郎]というYouTubeチャンネルの動画を以下に紹介します。
以下の動画では、英語ネイティブに簡単な英語でどこまで伝えられるのかという勝負が行われており、その中で「株の話で盛り上がった」という文章を伝えるために、[Stock]という単語を使っています。しかし、勝負のルールとして「できるだけ簡単な英語で」という条件が付けられており、妥協してStockという単語を使った方が負けという判定になっています。
株を簡単な英語でどう伝えるか悩んだ結果、絞り出すようにStockと発言しているシーンは、何度見ても面白いので、是非一度ご覧ください。
Kevin’s English Roomさんは、楽しみながら英語を学ぶことができるようなコンテンツを動画にされているので、気になる人は是非チェックしてみてください。
出典 : Kevin’s English Room / 掛山ケビ志郎 – YouTube Channel
語彙力を増やす習慣付け
日常の中で目にする商品や、自分が使っているものを、いざ英語で説明しようとすると難しかったりするものです。言語の中では語彙力(Vocabulary)を高めることは重要で、話すだけでなく聞き取るためにも「知っている」ことは大事です。
日本に居ながらも、目に入る身近な物事の「英語表現」を考えるように習慣付けると、英語の語彙力の中でも、特に「日常会話」で使う単語が身に付くようになるでしょう。
以下の記事では、日本ではお土産としても有名な「辛子明太子」の英語表現についてまとめています。合わせて明太子の由来やお魚の英語名なども紹介していますので、興味のある方は是非一度ご覧ください。
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