英単語のregionとlegionはRとLの違いはありますが、日本語のカタカナではどちらも「リージョン」となりそうです。しかし、日本ではlegionを「レギオン」と読むことも多くあります。
なぜリージョン・レギオンという2つの読みがあるのでしょうか。
本記事では、regionとlegionの英単語を確認した上で、日本でlegionがレギオンと読まれるようになった背景を紐解きます。身近な言葉から、歴史や文化の繋がりが見えてきます。
英単語 regionとlegion
まず最初に英単語の region と legion の意味と発音について確認してみましょう。
region の意味と発音
region は、
- 地域、地方
- 領域、一帯
という意味で使われる英単語です。
発音記号は /ˈriːdʒən/ で、「リージョン」に近い音になります。
例:
A major wine-producing region (主要なワイン生産地域)
regionが基になっている日本語のリージョン
日本語のリージョンの中で、regionが基になっている言葉としては以下のようなものが挙げられます。
- DVD(ブルーレイ)リージョン : 再生地域区分
- リージョンコード : 地域ごとの利用制限
- リージョンマネージャー : 地域統括責任者
近年では、特にIT分野(特にクラウド関係)などで頻繁に使われる言葉でもあります。(東京リージョン、大阪リージョンなど)
DVDが普及した1990年代の後半以降、広く一般的に使われるようになりました。
legion の意味と発音
legion は、
- 軍団
- 多数、大勢
という意味で使われる英単語です。
発音記号は /ˈliːdʒən/ で、「リージョン」に近い音になります。
日本ではこの英単語の意味で「レギオン」と表記することも多いため、legion の発音をレギオンだと思い込むことも少なくありません。その意味では、英語を学習している日本人にとっては注意が必要な単語でもあります。
例:
a Roman legion (ローマ軍団)
Fans are legion. (ファンは無数にいる。)
また、近年は娯楽作品などの影響もあり、西洋では「Legion = 悪魔の集団」というイメージもかなり強くなっています。
legionが基になっているリージョン
日本語のリージョンの中で、legionが基になっている言葉としては以下のようなものが挙げられます。
- 作品のキャラクター名(マーベルなど)
- 映画・ドラマ・ゲームなどのタイトル名
- 英語名をそのまま音写した組織名・軍団名
英語圏での作品名や固有名詞を扱う場合に「リージョン」という表記が用いられることがありますが、それ以外の場合には「レギオン」と表記される傾向があります。
英単語とカタカナ表記まとめ
regionとlegionの比較のために、ここまでの内容を以下の表にまとめます。
| 英単語 | 主な意味 | 発音 ※1 | カタカナ表記・読み |
|---|---|---|---|
| region | 地域 | リージョン | リージョン |
| legion | 軍団 | リージョン | レギオン または リージョン(固有名詞) |
※1 厳密にはRとLで発音は異なります。
こうして比較してみると、legion を レギオンと読んでいることには違和感を感じます。
region / legionのように「RとLだけ違う英単語」は、日本語表記が同じになることもあります。
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なぜレギオンと読まれるのか
「レギオン」という言葉の音は、英単語 legion の発音とは大きく異なっています。
「レギオン」という音はどこからきていて、日本ではなぜその読み方が定着したのでしょうか。
「レギオン」はどこから来たのか
legion の語源はラテン語 legiō(レギオー)です。
古代ローマ軍団(Roman Legion)の「軍団」は、このラテン語そのものです。
英語では発音が変化し、legionは「リージョン」に近い音になりました。
一方現代のドイツ語にも Legion という語はあり、そちらはレギオーン(またはレギオン)に近い発音となります。
| 言語 | 綴り | 発音(IPA) | カタカナに近い音 |
|---|---|---|---|
| ラテン語 | legiō | /ˈle.ɡi.oː/ | レギオー |
| ドイツ語 | Legion | /leˈɡi̯oːn/ | レギオーン |
| 英語 | legion | /ˈliːdʒən/ | リージョン(リージャン) |
レギオンの音は、英語ではなくラテン語やドイツ語の発音に由来していると考えられます。
なぜ日本では「レギオン」が定着したのか
日本ではなぜ「レギオン」と読まれるようになったのでしょうか。少し歴史を遡ってみましょう。
19~20世紀初頭(明治時代)、日本では
- 医学
- 生物学
- 哲学
- 神学
- 軍事史
などの学術用語を、英語だけでなく
- ドイツ語
- ラテン語
- フランス語
から大量に取り入れていました。
そのため、
- ラテン語の legio
- ドイツ語 Legion(レギオーンに近い)
に由来する「レギオン」という読みが、特に学術・軍事分野で定着していったと考えられています。
江戸時代の日本人が学んだ、主な西洋の言語はオランダ語でした。
幕末~明治の日本人は、オランダ語を介しながら西洋言語・知識を学び始めました。
💡関連記事:オランダ語からドイツ語へ ― 明治日本の言語学習の変化
こういった歴史的な背景もあり、現在の日本では legion をリージョンとレギオンという二つの読み方が使われ続けています。
一般的には
- 歴史・古典・宗教:ラテン語風の読み(レギオン)
- 現代文化・IT・日常語:英語風の読み(リージョン)
の傾向がありますが、例外も多くあります。
言葉に刻まれている歴史
region は英語由来の現代的な「リージョン」として広まり、legion はラテン語・ドイツ語風の「レギオン」として定着しました。
同じように見える英単語でも、日本語に入ってきた時代や経路が違えば、カタカナの姿も変わります。
リージョンとレギオンの違いは、そのことを身近に感じさせてくれる例だといえるでしょう。
身近な言葉にも歴史的な背景があり、その奥には西洋言語の歴史が見え隠れします。人々の営みの中でその姿を変えながら受け継がれた言葉・言語は、まさに歴史そのものなのかもしれません。
私たちの使う日本語
日本は明治時代の近代化の過程において、大量に西洋の概念を取り入れていきました。
その過程では、外来語(カタカナ語)の作成だけでなく、新しい和製漢語の作成や元々あった語の意味の拡張なども行われました。
私たちの使っている日本語の歴史の中には、人為的に大きな力が加えられた時期があるともいえ、その探究からは、国家の近代化を目指した先人たちの思いが感じられるかもしれません。

