日本には憲法や法律といった法令があり、そこに住む私たちはその法制度に従い生活しています。
現代は、多文化との共生や男女の性別役割意識の問い直しなど、将来を見据えた取り組みが進められており、その中で新しい課題とその解決についての議論が繰り返されています。
私たちの身近なところで問題が起きていると、
日本の法制度はどうなっているのだろう?
という疑問を感じる事があります。
本特集では、社会問題の是非や政策論ではなく、現代の法制度がどのような構造になっているのかを整理し、現代社会が向き合っている課題の理解を深めます。単純な規制や取り締まりが行われない・行えない理由なども見えてきます。
私たちが向き合う社会的な課題
現代社会は少子高齢化などの社会課題を念頭に、減少する労働力を補う目的等で外国人の労働者を引き入れる政策が進められています。(特定技能制度や外国人雇用の事業者支援など)
日本と異なる文化背景をもった外国人との共生社会では、新しい課題も見えてきています。
本節では、他の文化や宗教との共生社会の中で、摩擦が表面化しやすく、疑問を感じやすいと考えられる法令に着目し、その制度の構造を整理します。
多文化との共生に関連した法令
現代では、外国人労働者の受け入れや、外国人に関する事件・事故などが報道されると、制度の在り方について様々な意見が交わされます。また、特定の思想や文化などへの配慮を求める動きには、慎重な意見も聞かれます。
報道は単純に事件を報道していても、その扱い方や表現などには、報道の編集方針が反映されています。編集の方針には、事件の特殊性の強調、人権配慮・差別の抑制などが挙げられますが、視聴者の受け取り方は一定ではありません。
何が起きていて、何が正しいのか。
冷静に状況を捉えるために、法令の理解は役に立ちます。
人を傷つけてはいけない、刃物は持ち歩いてはいけないなど、宗教や文化と関係の薄い法令については、世界的な「常識」として共有されていると考えてしまうことがあります。
しかし実際には、日本と外国では法制度は異なり、人々の常識もまた同じではありません。
当然、日本に滞在する外国人も、同じように考えることがあります。
同じような法制度だろうという勘違いや思い込みから、悪意なく法令違反になることもありえます。
日本の宗教・思想に関する法令
日本では信教の自由が認められており、外国人であっても信仰を制限されることはありません。
しかし、特定の宗教を背景にした社会への権利要求などは、日本では反発も起きています。政府や自治体が宗教実践に対する配慮を行うと、政教分離に違反しているという意見も聞かれます。
信教の自由や政教分離、そしてその土台にある内心の自由という理念について、法制度の構造整理を通して理解を深めます。
日本の司法は何を宗教として扱っているのでしょうか。
実際の裁判例から、司法における宗教の位置付けを確認します。
意外と知らない法制度
現代の社会問題以外にも、法制度がどうなっているのか気になることも多くあります。
日本人であっても、意外と日本の法制度には分からないことが多いものです。
本節では、日常生活の中であまり気にすることが無いような法令や、歴史的な法制度の変遷などを紹介しています。
現行法令の理解を深める
人々の考え方は移り変わり、社会で活用される技術も一定ではありません。
現代では、(特に若者たちの間で)水道水は飲めないという人もいれば、(特に高齢者や親世代の人たちの間で)スマートフォンの利用を制限するべきだと考える人もいて、世代を超えて様々な議論がされています。
各法令はどういった目的で作られ、何を守っているのでしょうか。
また、過去の歴史や現代の治安懸念などから、現行法令での抑止や刑罰がどのような体制になっているのか気になることもあるでしょう。
歴史的な法制度の変化を知る
歴史は現代と繋がっています。
そのため、現行法令の議論では、その歴史的な経緯が影響していることも少なくありません。
元々はどういった制度だったものが、どういった経緯を辿って今の形になっているのかを理解すると、議論の輪郭がより正確に捉えられるようになることがあります。
社会秩序における法令の位置付け
共同体の細かな取り決めや暗黙の了解まで、すべてが法制度として整えられてはいません。
私たちは例え法制度になっていなくても、当たり前のこととして、協調性を大事にして控えめに振舞い、人間関係を大切にするために敬意や礼節を重視します。それらは共同体全体の秩序を守る役割も果たしているといえ、長い歴史の中で形成され、社会生活の中で受け継がれてきた考え方ともいえます。
社会秩序は、法令だけで整えられているわけではありません。
学校や家庭内での教育、地域での活動などを通じて、日本固有の「共同体秩序の守り方」が共有されています。
なぜそう考えるのか
同じ教育を受けて、同じ日本で育っていても、人の考え方は一定ではありません。
外国から日本にやって来た人は、そもそも日本の教育制度も受けていません。
その人が「なぜそう考えるのか」を考えることは、他者の配慮のためだけでなく、私たちを客観視することで、よりよい社会を築くことに役立つのかもしれません。
以下の特集記事では、私たちが当たり前だと思っている価値観を、歴史や他文化との比較を通して見つめ直します。
